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李ゼミナールが、韓国の南北軍事境界線のDMZ(非武装地帯)を見学

2016-09-02

李 英美(科目担当教員)

この夏、韓国は39年ぶりの猛暑に覆われていました。李ゼミナールでは2年生(5期生)の夏合宿を8月8日から11日までの3泊4日間、暑さの続く韓国ソウルで行いました。

日ごろ教室の中でテキストをとおして学んできた韓国・朝鮮の社会と文化について、現地に出向いて直に触れ、そして感じることを目的として、ゼミ生19名が韓国合宿に参加しました。初めて韓国を訪ねるゼミ生が多く、そのため主に韓国の首都ソウル市内を中心に訪ね回ることにしましたが、特に今回の合宿では韓半島(朝鮮半島)の南北分断の歴史と分断という特殊な現実を知るために、世界で唯一の南北軍事境界線に設定されたDMZを見学するツアーに参加しました。

 DMZとは、韓国戦争(朝鮮戦争。1950年6月25日~1953年7月22日)の休戦協定で定められたMDL(陸上の南北軍事境界線、Military Demarcation Line)の南北それぞれに2キロの幅で、軍事衝突を防ぐために設けられた非武装地帯(Demilitarized Zone)のことです。先ず、DMZ映像館に到着し、北朝鮮が韓国へ南侵するために堀っていたもので、1978年に韓国軍によって発覚されたトンネルに入りました。南侵トンネルは現在全4つ発見されましたが、今回李ゼミが入ったのは、1時間に武装兵士3万人もの侵入できるとされる「第3トンネル」でした。安全用のヘルメットをかぶり、モノレールに乗って地下73メートルの地点まで下って行きました。韓国戦争後においても北朝鮮の韓国南侵計画があったのを目の当りにし、韓半島が終戦ではなく休戦状態であることを再認識させられました。

DMZ映像館の前で

そのあとは、こんにち韓国で実際に運行している鉄道駅の中で、最北端に位置するドラサン駅に向かいました。当駅は民間人統制区域内にあり、つぎの停車駅は現在北朝鮮の都市である開城駅(ケソン駅)になっていることを確認しました。最近は南北間の政治問題が膠着状態に陥り、列車の運行が止まっていました。わずかひと駅の距離にもかかわらず、自由に往来できない南北分断の厳しい現実を垣間見ることができました。

ドラサン駅にて

引き続き、ドラサン展望台へ足を運び、望遠鏡を使って北朝鮮の村と街を眺めました。望遠鏡の向こう側に見える開城市(ケソン市)の工業団地を確認し、実際の北朝鮮を初めて間近にしたゼミ生たちは驚きと興奮を覚えました。さらに、北朝鮮の拡声器による対南工作放送が耳に迫り、まさかと思いきや、本当であることを確認して驚きと共に恐怖を感じたゼミ生もいました。この展望台で、李ゼミ生たちのために流暢な日本語で望遠鏡の向こう側の北朝鮮の状況を説明してくれたのは、何と日本の大学で留学経験をもつ、李ゼミ生と同じ年頃の韓国人兵士でした(写真3。真中の憲兵=MPの軍服姿)。兵役義務を担っている韓国の若者と、日本の若者としての李ゼミ生たちの姿が対照的でした。

ドラサン展望台 ― 北朝鮮の街を後ろにして

 3泊4日という短い韓国での夏合宿でしたが、南北分断という韓半島の痛みに触れることができ、韓国社会の理解に一歩近づけることができました。そして、何よりも戦争の怖さと平和の大切さについて、いま一度想起させられる良い機会でありました。