授業

2022.02.28

特別テーマ実践科⽬B「大災害時代の復興未来学」成果報告会報告

洞口 拓磨(担当教員)

 2022年1⽉7⽇に特別テーマ実践科⽬B「大災害時代の復興未来学」・「社会が求める科学技術イノベーション」の秋学期成果報告会を合同で開催しました。私が担当するこれらの科目を合同で開催したのは、学生ができるだけ多くのテーマに触れ、オンライン授業で少なくなりがちだったコミュニケーションの機会を最大限確保するためです。

 この「大災害時代の復興未来学」は、2018・2019年度開講した「東日本大震災を学ぶ」の後継授業として2020年度より開講しています。この授業では、自然災害が起こる理由を科学的に考察し、復興について考え続ける重要性を学ぶことを目標にしています。

 秋学期は授業開始時こそオンラインでしたが、ほとんどの授業を対面で実施することが可能となり、春学期に保留していた各種実験(液状化現象・電池の作成・放射能測定など)、プログラミング実習等のカリキュラムを無事消化することが出来ました。また、秋学期からの取組として、各グループのテーマに対してマインドマップによる情報整理を取り入れています。学生からのアンケートを見る限り、評判は概ね上々だったようです。この授業の特徴の一つして、授業では各学生が必ず2つのテーマに関わることにしており、授業全体で6つのテーマについてグループワークを展開しました(※プログラム参照)。

 成果報告会は、コロナ禍だけでなく積雪の影響もありZoomによるオンラン上での開催となりました。当⽇は、参加学生も含め商学部 森永由紀先生、浅賀宏昭先生、外部専⾨家⽀援委員(※文末に記載)により、⾮常に濃密な質疑応答がなされました。

 以下、学生からの感想の一部を抜粋します。

  • 履修を始めたころは放射線と放射能の違いもよく分かっておらず、福島出身で実際に震災を経験したことで生かせることがあるかもしれないと思い履修をした。秋学期ではグループ内での理解の共有を図るために、ローカルミーティングを行ったりLINEでメモや思ったことを共有するようにしたりしたことが良かったと思う。またマインドマップである程度のキーワードを出しておくことで、それに沿ったスライド作りがスムーズに行えた。しかし福島のグループでは発表が近くなるまで自分たちがどのようなストーリーを描いているかわからなかったことが反省点である。コミュニケーションでは春学期の災害予測や災害救助に囚われすぎて前半思い描いていた発表では上手くいかなかったものの、復興という視点に目を向け、風評被害をなくすためのアプローチができた点が良かったと思う。福島やその他災害に対しての考え方が、履修を始めた頃は少し楽観的であったが、春学期、秋学期と発表に携わることで、より身近な問題として捉え、解決しなければならない存在であると考えるようになった。
  • 履修を始めたころは、春学期に一度発表したこともあり、これからまだ何を発表するのだろうと不安があったが、マインドマップの作成からだんだんと進めていくうちに、同じテーマではあるが新しい発表が完成して達成感を得られた。成果報告会で発表することで、今回はビジネスの視点を得ることができたと考える。これは私にとっては大きな進歩であり、この視点を得たことで物事の見方が変わり、問題をビジネスにつなげられるようになった。
  • この授業を取るまでは海面上昇についてここまで真剣に考えたことはなかったし、新たなエネルギーについて学ぶ機会がなかったと思います。このことが履修しはじめと大きく自分の中で変わったことだと思います。春学期の発表からの成長としてはローカルミーティングを実施することや先生から指摘を受けたスライドの課題を直していくなど春学期に比べてメンバー内でのコミュニケーションは活発になったと思います。そしてスライドも先生から指摘を受けてから簡素に作れるようになったと思っています。
  • 正直、授業の履修を決めたときはここまで理系的なことを学習するとは思っていませんでしたが、この授業を履修し、ニュースなどで関連することが出てくると、そのニュースに興味を持って聞くことができ、そのことについて考えたり、授業内で先生がこの話題に触れるかな、と思ったりしながら聞いていました。
  • 履修を始めたころは、変な正義感のようなものを掲げて授業に臨んできましたが、自分は教えられる立ち位置にあることに気づかせて頂いたり、自分自身の成長であったり、心境の変化につながった非常にやりがいのある1年間だったと思います。春学期の成果報告会では外部専門家支援員の方々の質問の意図であったりを汲み取ることができていませんでしたが、秋学期になって、そういった意図だったりを汲み取ることができたのではないかなと思いました。また、グループワークや授業を通して、自分が前に出ることが苦手であることや、意見を強く言えないことなど、自分一人では気づけない自分自身の課題を知ることができ、とても有意義な時間だったのではないかなと思いました。
  • 履修を始めた頃は基本的な文献収集やグループワークで苦労した部分もあったが、秋学期ではそういった部分はある程度クリアして発表の本質的な主題の部分や基礎的な物理、QGIS等のスキルを身につけることに集中することが出来て良かったと思う。春学期成果報告会に比べて、発表時の話し方はある程度改善されたと思うが、想定していない質問を受けた時、自分で質問する際は上手く話せていないと感じる。これからは話す内容や順序を話す前にしっかりと考えてから話すようにしたい。特に自分で質問するときは時間に余裕がある場合が殆どなので、特に話の終わり方を考えてから話すようにしたい。
  • 履修を始めたころと春学期の成果報告会に比べて、発表がうまくなったのではないかと感じた。とくに履修を始めたころに比べるとこれが大きな成長なのではないかと私は思う。春学期と比べて、先生からご指摘い頂いたところをなかなか直すことができなかったことは反省点である。私の話し方だったり、考え方の癖をなかなか直すことができなかった。ただ春学期の成果報告会の時と比べて、自分自身を分析できていたと思う。今後の学生生活に生かしていきたい。秋学期の成果報告会は春学期に比べてやりきったという気持ちを持って臨むことができたと思う。特にコミュニケーションの発表は春に比べてとてもよい発表ができたのではないかと思う。また春に比べて今回の成果報告会では他の学生さんや先生方と深い議論ができたと思う。
  • 履修を始めたころと比べると、異常気象やエネルギー問題についての知識はもちろんそれらの問題に対する考え方や捉え方も変わったと思う。そして、最初に復興というものに対して抱いていた感情も今では変わったと思うし、復興に対する姿勢もうまく変えられたと思う。春学期の成果報告会と比べると、まずエネルギーは発電だけでなく送電や蓄電も一緒に発表できてよかったと思う。異常気象も春学期を踏まえて、さらに違う異常気象の例や対策まで広げて調べられたのでよかった。

 今年度秋学期は、完全とは言えないまでも通常の授業運営に近い形をとることが可能となり、予定していたカリキュラムを遂行できたことが最も良かった点ですが、一方春学期の保留分を取り戻すべく秋学期に負担が生じたようにも感じています。学生の感想を見る限り、様々な受け取り方をしつつも、その学生なりに十分な学びがあったのではないかと思います。この授業での学びが、何らかの形で実を結び、ささやかではありますが復興の一助となれば幸いに思います。

 最後に、お忙しい中本成果報告会にご参加頂いた外部専⾨家⽀援員の⽅々、本学商学部 森永由紀先生、浅賀宏昭先生、及び本報告会開催にご協⼒頂いた商学部事務室の⽅々に深く御礼申し上げます。ご協⼒有難うございました。

2021年度特別テーマ実践科目B成果報告会プログラム
月曜3時限「大災害時代の復興未来学」
月曜4時限「社会が求める科学技術イノベーション」
担当教員:商学部 洞口 拓磨

日時:2022年1月7日(金)12:00開始
場所:Zoomによるオンライン開催

プログラム
12:00 授業紹介・外部専門家支援委員紹介          明治大学商学部 特任准教授 洞口拓磨

「社会が求める科学技術イノベーション」発表開始(発表+質疑応答:20分)
12:05「宇宙環境問題~小惑星と太陽フレア~」        商学部1年生:1名・2年生:2名
12:25「世界の水問題と浄水技術」              商学部1年生:1名・2年生:2名
12:45「食糧問題へのアプローチ」              商学部2年生:4名
13:05「AIとセキュリティー問題」              商学部1年生:1名・2年生:1名
13:25休憩(10分)

「大災害時代の復興未来学」発表開始(発表+質疑応答:20分)
13:35「非常時のコミュニケーションと福島の復興」      商学部1年生:1名・2年生:2名
13:55「福島第一原子力発電所事故と放射性廃棄物処理の現状」 商学部1年生:1名・2年生:2名
14:15「発電・送電・蓄電から考えるエネルギー問題」     商学部1年生:1名・2年生:1名
14:35「火山噴火と地震」                  商学部1年生:1名・2年生:2名
14:55「気象変動に対峙する~迫りくる地球環境の危機~」   商学部1年生:1名・2年生:1名
15:15「海面上昇が及ぼす影響」               商学部1年生:1名・2年生:2名
15:35休憩(10分)

15:45 ディスカッション
17:00 総括・外部専門家支援委員より
17:20 写真撮影
17:25 解散

外部専⾨家⽀援委員
吉澤⼀⺒ 様 (東京理科⼤学薬学部疾患薬理学研究室 准教授)
水野統文 様 (聖路加国際病院放射線治療品質管理室 室長) 

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