留学

2023.03.16

フレンチファッション・プログラム再開しました

東野 香代子(担当教員)

コロナ禍で、海外への渡航が困難だった3年間中止していた、特別テーマ海外研修科目「フレンチファッション・プログラム」を再開しました。2023年2月11日から27日までの15泊17日の行程で、33名の明大生が参加しました。

パリに本校があるファッションビジネス・スクール、モダール学院での短期集中ファッションビジネス研修科目です。2週間、現地のアパートタイプのホテルで生活しながら通学します。授業はすべて英語で行われるので、フランスにファッションを学びに行く際に障壁となっていたフランス語は必須ではありません。

MOD'ART学院の前で記念撮影

今回のプログラムは、パリ・ファッション業界の伝統的な職人仕事(オートクチュール、ジュエリー、香水など)やマーチャンダイジング、マーケティングの授業に加えて、NFT、メタバースといったファッションテック関連の授業や、サステナビリティを推進する団体の現場見学などが増えて、いっそう充実した内容になりました。

 写真1, 2, 3, 4, 5 
モダール学院の教室でのブランド・マーチャンダイジングについてのレクチャーの後に、実際にアヴェニュー・モンテーニュに出かけ、数々の一流ブランドの店舗を訪れ、理論がどのように具現化されているかを学びました。

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agnès b.(アニエス・ベー)本社でのブランドコンセプトとサステナビリティについての研修。

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agnès b.のショールームで、発売前の新作の説明。商品を手に取ってゆっくり見ることができました。

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agnès b.研修の最後には、店内のカフェテリアを貸し切りにして、明治大学の学生のためにランチを用意してくれました。ファッションを勉強したいという学生や若者に対して、パリの業界関係者はとても熱心に対応してくれるのが常です。

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ランチの後は、agnès b.社CSRディレクターから、同社のサステナビリティ、特に環境問題への取り組みのレクチャーがありました。(agnès b.はここまで)

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別の日の学校での授業風景。パリ・モードの華ともいえるオートクチュールの歴史と意義についての授業。オートクチュールとプレタポルテの違いについても改めて学習。

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午前中にファッションにおけるブランディングのレクチャーがあり、午後にはポン・ヌフにあるLouis Vuitton本社内で開催中の展覧会を見学。歴史と伝統が、ストーリーになり、それが現在どのような形で商品やメッセージとして発信されているのかがよく分かりました。ポン・ヌフのLV本社の向かい側には、歴史ある百貨店サマリテーヌ(LVMHが買収)とLVMH運営の高級ホテルがあります。その建物前の広場で記念撮影。後日、この場所にはFRPでできた草間彌生さんの大きなオブジェが設置されたそうです。

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偉大なクチュリエ、イヴ・サンローランのアトリエ跡に作られたミュージアムでサンローラン「ゴールド」展を鑑賞。膨大な収蔵品の中からゴールドのテーマで選ばれた作品や往年のプロモーション映像で構成された見ごたえのある展覧会でした。

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パリ装飾美術館で開催中の「パリ、80年代 - フランスのモード、デザイン、グラフィックアート」展にも行きました。政治もファッションもアートも熱狂的だった80年代に活躍したクリエイターたちの作品から学ぶものも多かったと思います。

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Fashion Green Hubというボランティア団体のワークショップを見学しました。有名ブランドに廃棄衣料品をアップサイクルするノウハウを提供したり、新人デザイナーへの機材の貸し出し、縫製仕事による女性の自立支援といった活動を紹介してもらいました。サステナブルな社会を目指す人たちのハブとして機能することが名前の由来です。

最後に、参加した学生からの感想の一部をご紹介します。

  • 街を歩くだけでもパリの人は本当におしゃれでかっこよく、それぞれが自分のファッションを楽しんでいる姿に刺激を受けた。流行に流されない姿を見て、パリがなぜファッションの中心であるのか身に染みて分かった。

  • 自由行動では、ルーブル美術館やエッフェル塔、セーヌ川などの観光名所に行くことができたし、日本で我慢していたスイーツとパンも飽きるくらいたくさん食べたし、本屋で雑誌を買うこと、夜のカフェに行くことなどパリでやりたかったことも叶えて夢のような17日間だった。

  • 自由時間は比較的多く、ルームメイトと集まって行きたい場所を相談するのも楽しかった。有名な観光地を多く訪ねることもでき、朝食や昼食用にパン屋に行くのが楽しみのひとつだった。

  • 語学留学ではなく、英語を手段としてファッションを学ぶプログラムに参加できてよかった。フランスは聞いていたとおり芸術の国で、地下鉄の駅で楽器を演奏している人がいたり、オペラ座の前では合唱をしている団体がいたり、スーパーマーケットにはストリートピアノがあって誰でもいつでも弾けるようになっていたり、美術館で彫刻の前に座ってデッサンしている人がいたり、本当に芸術が文化の根底にあって素敵だと思った。

  • パリ市内のほとんどの場所で英語が通じ、円滑なコミュニケーションを取ることができた。またフランス人もとても気さくで、優しさや気遣いを感じる場面が多くあった。日本人であることを伝えると日本語を話してくれる人もいた。もし来年このプログラムに参加するにあたって語学面で不安を感じる人がいたとしても、ぜひ怖がらずに挑戦してみて欲しい。

  • さまざまな専門分野の授業を受けて、フランスのブランドが世界中の人々に愛される理由、長い歴史がありながら最先端を走り続ける理由が分かった。

  • 私は1人で申し込んだので、友だちができるのか心配だった。しかし、いざプログラムが始まってみると、相部屋のルームメイトや近くの部屋のメンバーとすぐに仲良くなれて、最終的にはプログラムが終わった後も関わりたいと思えるような友人ができた。応募する段階で友だちと一緒でなくても全然大丈夫!

  • 出発前は英語の授業についていけるか心配していたが、現地の先生方は意思疎通しようと頑張って話しかけてくれるのでなんとかなった。ただ、フランス語ブランド名を聞き取るのだけが難しかった。

  • NFTの授業が楽しかった。実際の企業でのNFTを使ったマーケティング事例を引用して、成功した理由、失敗した理由を教えてもらったので理解が深まった。

  • この研修に参加したくて、明治大学商学部を志望した。将来ラグジュアリーファッション業界で仕事をしたいと思っている自分にとっては最高のプログラムだった。また、留学は授業だけではなく、日常生活にも日本にはない学びや発見があり、刺激的だった。

  • フランスに行きたいという理由で参加したが、結果としてファッション業界に興味を持つきっかけになった。2週間、モダールで勉強しながら街を歩く中で、ファッション業界のマーケティングが、難しくもやりがいがあることに気づいた。

  • 午前中学んだことについて午後の課外学習で実践的に学びを深めるというこのスケジュールはとても充実していてよかった。

  • 洋服のことだけでなく香水やジュエリー、そしてNFTなどのファッションの未来の可能性についてまで幅広く学ぶことができ、とても充実したプログラムだった。ファッションを学びたいという気持ちがあれば参加して損はない。

  • 今回のプログラムで特に興味を持ったのは、ファッション・グリーン・ハブを訪問したこと。ここでは、数ある産業の中で2番目に環境に悪影響を与えているファッション産業が、いかに環境に良い商品を作れるかを研究している。担当の方が様々な製品を見せてくれた中でも面白かったのがデニムで作られたバッグだった。もともとのジーンズの縫い目が生かされているデザインで、「製品を生まれ変わらせる際に、新しい糸や布、部品を使わないことが目標だけれど、今は達成できていない。今もずっと研究している」というコメントに感心した。

  • アニエスベーの本社研修がとても興味深く、アトリエ見学は刺激的だった。少人数で作業しているスタッフがかっこよく、独特な空気感が漂っていた。

  • 日本にいても、スマホやインターネットで情報は得られるが、実際にファッションの本場パリに足を運ぶことでしか気づけないこと、吸収できないことがたくさんあると実感した。

  • 学外での見学は座学の授業内容とリンクしていて、学んだ内容を考えながら視点を定めて活動できた。耳で聞いて、頭で理解するだけではなく、自分の五感をフル活用して実際のものを目にする体験は記憶にも残りやすく、楽しみながら学習することができてよかった。

  • 2週間という短期ではあったが、得られる経験値や、なによりファッション・アートに関する知見は膨大なものだった。座学で知識を得たいという人よりは、本物に触れることに価値を感じる人に是非すすめたい。自分の五感を最大限に活用することできっと素晴らしい時間になると思う。
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