2023.11.25
2023年度(秋)ゲストスピーカーによる特別授業:塚原正俊氏【テーマ:次世代シーケンサ出現の衝撃と活用ーデータ量が飛躍的に増えると用途が一気に広がるー】
浅賀宏昭(科目担当教員)
ゲストスピーカーによる特別授業について、以下内容で実施いたしました。
1.実施日
2023年 11月13日(月)17:10~18:50
2.実施場所
和泉キャンパス 和泉図書館ホール
3.科目名
総合学際演習(2年)
4.ゲストスピーカー
塚原正俊氏(肩書:株式会社バイオジェットCEO、琉球大学特命教授)
5.実施内容
次世代シーケンサ(NGS) は2010 年以降、急速な発展をしたDNA の塩基配列の解読技術である。
2003 年に完全解読が発表されたヒトゲノムプロジェクトでは、男性一人分のDNA塩基配列を解読するのに十数年の年月と30 億米ドルかかった。
しかしNGSを使えばわずか数日で費用も10 米ドルで済むという。NGSはまさにパラダイムシフトをもたらした技術である。
このことは「生命科学」講義でもちょうど扱ったところであったので、同講義の受講生にも呼びかけ、会場も和泉図書館ホールにして、塚原正俊氏の特別授業を実施した。
およそ60 名の学生が集まり、にぎやかな雰囲気で、授業が始まった。ほとんどのバイオベンチャーが数年で消えていくなか、塚原氏は沖縄で株式会社バイオジェットを起業して1 0年以上も維持している。
その秘訣は何かという観点からも、注目度は高かったようである。今回は、沖縄で起業した理由、地の利なども含め、経営に関することから話をされた。
そして同社でフルに活用されているNGSの特徴と、その応用例についての紹介とともに、商学部生にもわかりやすい解説をしていただいた。
応用例としては、沖縄の酒である泡盛の商品開発でこれまで大いに活躍されてきたことを紹介された。最近ではNGSを活用して選抜した古(いにしえ) の黒麹菌株を用い、
新たな商品「琉古株仕込み琉球大学の泡盛」の開発に成功したという話を丁寧にされた。この日に1本を持参される予定であったらしいが、大いに売れて在庫がなくなったということであった。
泡盛は香りがバニラのような甘い香りのする特徴があるので、(飲まなくても) その香りを皆で共有できたかも知れないと思うと残念であった(これは次の機会に期待することとしたい)。
他には、NGSを活用したウイルスの変異を明らかにする話や、ある公的な機関から依頼された健康食品の成分のDNAの鑑定をされた経験談も話してくださった。
リアクションペーパーを回収したところ「応用例が興味深かった」「他の応用例も聴きたい」「成年になったら泡盛を飲みたい」の類の記載が多かった。