ゼミ

2024.01.15

三和裕美子ゼミナール インドネシア・バリ島で3泊4日の研修を実施

三和裕美子(担当教員)

三和ゼミでは、2023年11月15日〜18日の4日間、インドネシア・バリ島にて研修を実施しました。参加者は、引率教員1名、3年生16名、院生2名の計19名です。

画像1.jpg[写真] デンパサール空港にて

バリ島は、人口約430万人、東京都の約2.5倍の大きさの島です。バリ島の州都はデンパサールであり、今回の旅の始まりはデンパサール空港からでした。島は、サバナ気候に属し、年間を通して暖かく、雨季と乾季があります。ビーチリゾートとして世界的に有名なバリ島は、ビーチの他にも、多くの自然や寺院があり、棚田(タバナン県、プクリサン川のスバック灌漑施設とその景観)やウルン・ダヌ・バトゥール寺院などの世界遺産が存在することから、観光資源に溢れた土地として知られています。文化的観点からいうと、イスラム教徒が約9割を占めるインドネシアにおいて、バリ島は約9割を超える人がバリ・ヒンドゥー教を信仰しており、世界的に見ても独特な文化が脈々と受け継がれています。

しかし、バリ島はさまざまな問題を抱えており、特に環境問題が深刻といわれています。その代表例がゴミ問題です。バリ島が属するインドネシアは、世界有数の海洋ゴミ排出国で、バリ島には数多くのゴミが美しいビーチに漂着し、たびたびメディアに取り上げられています。また、ゴミインフラが未整備なため、バリ島で出たゴミのほとんどは焼却されずゴミ山に捨てられている現状があります。

私たちは、そんなバリ島に、海外インターンシップを斡旋しているタイガーモブ株式会社様ご協力のもと訪れました。今回の研修の目的は、「インドネシア・バリ島を舞台に、気候変動がもたらす農業/エネルギーへの影響を解きほぐす」です。これに、三和ゼミが普段の活動で学んでいるESG投資を始めとした「愛ある金融」の知識を掛け合わせ、バリ島の抱えるさまざまな課題の解決の糸口を探ることを、この研修のミッションとしました。

2023年10月18日(水)に駿河台キャンパスで行われた事前研修では、タイガーモブ株式会社の社員の方のレクチャーを受け、それをゼミ生一人ひとりが仮説をたて、現地研修への足がかりとしました。

【研修1日目】
この日の午前中は、バリ島の環境問題解決を目指す、"国際的クリエイティブサイエンティスト集団" su-re.co様のオフィスを訪問し、バリ島に関するレクチャーと藍染め体験を行いました。藍染め体験では、各自Tシャツを縛り、それを環境にやさしい染料が詰められたドラム缶の中に沈めたのち、それを空気に触れさせることで綺麗な藍色のTシャツが出来上がりました。

画像2.jpg[写真]su-re.coでのレクチャー

画像3.jpg[写真] 藍染め体験中のゼミ生

画像4.jpg[写真] 完成したTシャツ

午後は、世界文化遺産のジャティルウィの棚田を見学しました。この棚田は美しい景観はもとより、バリ・ヒンドゥー教の教えである「トリ・ヒト・カラナ」を体現したスバック灌漑システムが現代まで脈々と受け継がれており、それが世界に認められ2012年に世界文化遺産に指定されました。

画像5.jpg[写真] ジャティルウィの棚田

画像6.jpg[写真] ] ジャティルウィの棚田にて記念写真

【研修2日目】
この日の午前中は、サステナブルな農業を実践している"Jiwa Community Garden"を訪問しました。"Jiwa Community Garden"は、バリ島で衰退しつつある農業や環境問題への危機感を持った有志の人たちが運営している共同農園で、園内で出たゴミや排泄物を使って農作物や家畜を育てることにより、持続可能な農業のあり方を発信しています。バリ島の農業が抱える課題は、日本の農業にもつながる点が数多くあり、多くの知見を得ることができました。

画像7.jpg[写真] 生ゴミからつくる堆肥についてレクチャー

画像8.jpg[写真] Jiwa Community Gardenの方とディスカッション

午後は、バリ島の環境団体である"Sungai-watch"の活動に参加し、川でのゴミ拾いに参加しました。"Sungai-watch"では、バリ島で問題となっているプラスチックゴミを人力で拾い、それをリサイクルすることを活動としています。川には、衣類の他、数多くのゴミが堆積しており、その重量は1tを超えました。バリ島のゴミ問題の現実に触れると共に、活動に参加した現地の子供たちとの交流することもでき、貴重な機会となりました。この夜、 su-re.coのオフィスを再訪し、設立者である高間剛氏のお話を伺うこともできました。

画像9.jpg[写真] ゴミ拾いの様子

画像10.jpg[写真] 現地の子どもたちとの交流①

画像11.jpg[写真] 現地の子どもたちとの交流②

画像12.jpg[写真] 集めたゴミの様子

【3日目】
この日は、タユン・アユン寺院、ウブド市場、ポテトヘッドビーチクラブを訪れました。バリ島の魅力に触れると共に、ゼミ生間の仲も深めることができました。

画像13.jpg[写真] タユン・アユン寺院にて

この3日間の経験を経て、バリ島の抱える課題の一端に直接触れることができました。私たちがこの研修を受けて得たものは、「問題に対して多角的にアプローチする力」です。バリ島の環境問題は、単なるゴミの問題ではなく、国の財政やインフラ、国民性、貧困等さまざまな因子が複雑に絡み合っています。今回の研修を通し、問題そのものだけでなく、問題を要素分解し、それに関わる主体それぞれの視座に立って、課題を見つけ出すことで、多くのソリューションを考えることができました。
また、この研修を経て、バリ島の美しい自然や美味しい料理、貴重な文化、そして魅力あるバリ島の人々と交流することができました。バリ・ヒンドゥー教の教えである「トリ・ヒト・カラナ」は、「人と人とのつながり」「人と自然とのつながり」「人と神とのつながり」を大事にすべきというものです。短い間ではありますが、バリ島の課題解決に取り組む中で、私たちもそのつながりの一部になれたと考えます。私たちの身に染み込んだ「トリ・ヒト・カラナ」の精神は、ゼミの分野であるESGの考え方にも通ずるものです。私たちがこの3日間で得たものは、これからのゼミで「愛ある金融」を検討する際に、必ずや生かされることと思います。

画像14.jpg[写真] 2日目、Sungai-Watchの活動に参加した人たちと

最後に、私たちの訪問を受け入れてくださったsu-re.co、Jiwa Community Garden、Sungai-watchの皆様方、本研修をサポートしてくださったタイガーモブ株式会社の方々、そしてお世話になったバリ島の方々に心より御礼を申し上げます。

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