2025.06.24
浅賀ゼミが調理科学実験 ―電気パンケーキと液体窒素アイスクリーム―
浅賀 宏昭(担当教員)
浅賀ゼミは調理科学の実験(電気パンケーキ、液体窒素アイスクリーム)を、2025年3月21日に和泉キャンパスの多目的実習室で行った。ほとんどのゼミ生が初めて体験する実験で、見て食べて感じることで、学習内容の記憶の強化が期待できる楽しい活動であったので報告する。
【電気パンケーキ】
100~125Vの交流電圧を生地にかけ、その際に発生する熱によってパンケーキを焼き上げる実験。この方法は「電気パン」として半世紀以上前から知られていたが、感電等のリスクのためか、あまりされなかったようである。今回は、次のように実施した。
(1)1Lの牛乳パックの下部を切り取って容器とし、その内側にステンレス板2枚を離してセットする(図1)。
(2)ステンレス板の間にパンケーキの粉を溶いた生地を容器の1/2程度まで入れる。
(3)ステンレス板にミノムシクリップのついたコードを接続する。
図1 電気パンケーキ実験装置の模式図(浅賀による作図)
(4)以上が完了したら、プラグをコンセント(アウトレット)に差し込む。
(5)生地が発熱して膨らみ、湯気が出てくることを確認。このときステンレス板等に触れないよう注意(図2左)。
(6)湯気があまり出なくなったらプラグを抜く。
(7)ミノムシクリップをステンレス板から外し、ステンレス板も抜き取る。
(8)容器として使った牛乳パックを切って、焼けたパンケーキを取り出し、ナイフか包丁で切り分ける(図2中)。
(9)お好みのシロップをかけていただく(図2右)。
図2 電気パンケーキの調理実験
通電して焼き(左)、蒸しパンのように焼けたパンケーキを取り出し(中)、切り分けてシロップをかけて完成(右)。
この方法では焼き色が付かないので蒸しパンのような、スポンジケーキのような感じになった。ゼミ生からは「こんな簡単な装置で焼けるとは驚いた」「イーストと小麦粉を使ったパンも焼いてみたい」「原理的にはほかの食材も焼けるのでは? いろいろ試したい」などの感想が集まった。
【液体窒素アイスクリーム】
アイスクリームは、「氷+食塩」(-21℃)やドライアイス(-79℃)で作れるが、今回は、以下のように液体窒素(-196℃)を用いて、より短時間で作った。
(1)牛乳をステンレスボウルに入れ、バニラエッセンスを適量加えて混ぜたあと、冷蔵庫(0~4℃)で冷やしておく。
(2)実験台の上に数枚の新聞紙を置き、そこに(1)のボウルを置き、実験室の換気を良くする。
(3)きれいな軍手をした手で1人がボウルを押さえて、そこに別の1人が液体窒素を少量加え、もう1人以上がしゃもじでかき混ぜる(図3左)。
(4)かき混ぜるイメージは空気を含める感じで。かき混ぜる際の抵抗が小さくなったら温度が上がった証拠なので、液体窒素をさらに少量ずつ加えて、かき混ぜ続ける。
(5)しゃもじの手応えが(氷の結晶による)じゃりじゃりからねっとりした感じになったら、かき混ぜるのを止める。
(6)容器に分けて、お好みのシロップをかけていただく(図3右)。
図3 液体窒素アイスクリーム
バニラエッセンスを加えた牛乳に液体窒素を少しずつ加えつつかき混ぜ続け(左)、手ごたえが変化したらカップに取り分けて、シロップをかけて出来上がり(右)。
この実験は、液体窒素に直接触れないようにすることと換気を良くすることの2点に気を付ければ、リスクはほとんどない。完全に硬く凍らせてしまうとかき混ぜられないので、液体窒素を少量ずつ加えるのがポイントである。氷の結晶が大きいと舌触りが悪くなるので、よくかき混ぜることが重要である。ゼミ生からは「出来たては冷た過ぎるので、時間を少しおいて食べた方が良い」「シロップはチョコよりもメープルがおいしい」「パンケーキと同時に作ったら一緒に盛り合わせて食べられるので、次はそうしたい」などの感想が出された。
実験終了後、皆で記念写真を撮った(図4)。なお、今回は、他にも試みた実験があったが、ここでは割愛する。
(図4) 皆で終了後に記念撮影。左端が自然科学実験準備室の原田さんで、その右が安齋さん(浅賀はこの写真を撮影したので写っていない)。
今回は商学部の森永由紀教授に恵与された貴重なドイツ製のヴィーガン用パンケーキの粉を使用した。また、自然科学実験準備室の安齋東さんと原田真実さんには本実験の準備と片付け、および実施時には注意喚起などのご助力をいただいた。この場を借りて御礼申し上げる。