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2020.07.01

【2019年度第1回商学部スノーピーク研究・実践奨励金 成果報告書⑦】「旅おこし」プログラム

 私たちは、商学部内の特別テーマ実践科目である「旅おこし講」という授業で活動してきました。「旅おこし講」は担当されていた木村乃先生が退職なさって二年前に終了してしまいましたが、有志の学生たちが「授業とは関係なくこれからも活動を続けたい!」との思いから、別途活動を継続して現在に至ります。

 私たちはこれまで、主に群馬県上野村という人口1,162人(令和元年10月1日現在)の小さな村で「旅おこし」というプログラムを企画してきました。

 「旅おこし」とは、田舎への観光ニーズを持つ方に観光スポットを案内する旅行ではなく、囲炉裏を囲んで村の方とお話をし、そこでしか味わうことの出来ない体験をしていただくことで村の本当の姿を知っていただくプログラムです。

 

 観光客への認知であればもっと効率的なやり方があるにもかかわらず、このような草の根活動を続けてきたことには理由があります。

 それは、旅おこしを通して村の方々に、「自分の村は素晴らしい!」と実感していただきたかったからです。

 地域活性化というと六次産業化など経済面での施策が思い浮かぶことが多いと思います。ですが、国の施策では住民は置き去りで、地域が団結した施策の実行が出来ずに、結局失敗してしまうというケースが往々にして存在します。このような施策は地域住民が地域活性化の活動に前向きになって初めて意味をなすと私たちは考えます。だからこそ、私たちは常に地域住民の皆さんの視点を忘れないように活動を続けてきました。

 授業の時代から約8年間、上野村の「魅力」を村内外に発信し続けてきましたが、

 "ここで一度村の魅力を「記録」として残すことで、村の方々が地域での暮らしを確かに実感することがで出来、今暮らしている方だけでなく別の場所に暮らす人や将来ここで暮らす人にも上野村を感じてもらうことができるはずだ。"

これらの思いから、今回は上野村の「魅力」を詰め込んだ写真と文のアルバムを作成することに決定しました。

 アルバム作成にあたり、村の住民の皆さんの生の声や上野村の魅力的な人、景色、食べ物を取材する必要がありました。

 しかし、インタビューという形式だと村の方々もかしこまってしまい、本当の声を聞くことは出来ないと考え、初対面の方にもあえてアポイントは取らずに突撃取材という形でお話を聞くことにしました。

 突然訪れた若者に対して、仕事の手を少し休めてくださる方やご近所さん同士のお茶飲みに混ぜてくれる方々も。村の方々の優しさに感謝しています。

 人が違えば、出てくるお話も千差万別です。内容や同じ出来事への感想も異なり、現地に行かなければ聞こえてこない声をたくさん聴くことが出来ました。そして同時に、私たちの当たり前は当たり前ではないということを強く実感した取材となりました。

お仕事の手を休めて
近所のお茶会にお邪魔

 取材を進めていく中で、初対面の方の警戒心を解きながらお話を聞くことが出来るのか、どのように振る舞えば相手の方にもっと気持ちよくお話をしてもらえるのか、などの課題も見つかりました。グループで改善策を話し合い、次回以降の取材に繋げていきたいと考えています。

 

 現在は、取材で集まった情報を元に掲載する記事や写真の選定、アルバムのデザイン制作を行っています。雪解けした3月には村にお届けできるように、年内をめどにアルバムを完成させたいと考えています。

 はやく春になって、村内外の皆さんに私たちが肌で感じた上野村の「魅力」を伝えたいです。

 そして今後も、村の人自身が自分が生まれ育った村に愛着を持ち続けてもらうことを願っています。

※この研究は,株式会社スノーピーク社長・山井太様(1982年商学部卒業)からの寄付を原資とした「商学部スノーピーク研究・実践奨励金」の給付を受けて実施されました。

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