2020.07.01
【2019年度第2回商学部スノーピーク研究・実践奨励金 成果報告書2】「明治大学をフェアトレード大学に」①
小林尚朗ゼミ フェアトレード札幌市調査班
代表:山崎碧斗
班員:髙田美優 谷村朱音 小林拓朗
私たち小林尚朗ゼミナールは、「明治大学をフェアトレード大学にする」という目標を掲げ、日々そのための活動をしています。私たちはゼミ活動で、未だに多くの国や地域で貧困問題が解決されていないという現状を知りました。そこで、途上国の貧困問題を解決するために、一方的な寄付や援助とは異なる、フェアトレードに注目しました。
今回、株式会社スノーピークの山井太会長より研究・実践奨励金をご支援頂き、私たちの活動の参考、指針とするため、日本に3校しかないフェアトレード大学のうち、札幌学院大学と北星学園大学、またフェアトレードタウンである札幌市役所を訪問し、実地調査を行いました。
まず、札幌市役所の国際総務部を訪問し、平塚泰章様にお話を伺いました。2019年6月にフェアトレードタウンに認定された札幌市では、毎年6月に大通公園でフェアトレードフェスタが行われています。インタビューのなかで特に印象的だったのが、「行政と地域の一体感」があることでした。その中心となっているのが「フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議」という団体で、市役所は発信力を活かしてメディア的役割を果たしているそうです。私たちはこの地域との連携、役割分担に、フェアトレードを普及させる原動力があると感じました。また、市内の学校でのフェアトレード活動など、子ども向けの教育も増えてきていることから、地域としてフェアトレードを推進していく熱意を感じました。
次に札幌学院大学を訪問し、橋長真紀子先生にお話を伺いました。橋長ゼミでは、社会的課題や持続可能な生産・消費を研究していることから、フェアトレードの普及に努めているそうです。札幌学院大学には、活動資金の給付を得られる「学生発案プロジェクト」という制度があります。フェアトレードの推進にあたって、この資金を獲得できたことで、より多くの方々に周知することができたそうです。橋長ゼミの学生さんからは「フェアトレード大学とするには、小さな活動より先に、大きく名の残る活動を行って、大学からの支援や協力を求めるのが一番です」というアドバイスを頂きました。
最後に北星学園大学に訪問し、萱野智篤先生にお話を伺いました。萱野先生は、「フェアトレード北海道」の代表理事も務めておられ、学生のフェアトレード推進活動だけでなく、フェアトレードそのものについても詳しくお話し頂きました。日本ではフェアトレードの認知度が低く、あまり活発でないとも言われますが、そもそもの定義が誤認されているという課題があるそうです。それを正しく伝えられるよう、北星学園大学ではフェアトレードに特化した授業があり、また常時学内カフェでフェアトレード商品を販売しています。学生に授業で興味を持ってもらい、実際にいつでも商品に触れられるというサイクル環境があることが、とても重要であると感じました。
今回の札幌現地調査を通じて、私たちは次のことが必要であると感じました。
①私たちだけでは活動の範囲にどうしても限界があるため、少しでもフェアトレードの認知を広め協力の輪を広げること。
②私たちの活動をより多くの方々に知ってもらい、フェアトレードに共感してもらえる機会を増やすこと。
③フェアトレード商品にいつでも触れられる場や機会を作ること。
以上が、「明治大学をフェアトレード大学にする」ための重要な鍵であると考えます。フェアトレードを学内で推進し、また明治大学からフェアトレードが広がり、途上国の貧困問題を解決できる日が来ることを願って、これからも活動してまいります。
※この研究は,株式会社スノーピーク社長・山井太様(1982年商学部卒業)からの寄付を原資とした「商学部スノーピーク研究・実践奨励金」の給付を受けて実施されました。