ゼミ

2025.03.12

第20回日本感性工学会春季大会での研究発表

加藤拓巳(担当教員)

202535-7日の第20回日本感性工学会春季大会で加藤拓巳ゼミの学生が研究を発表した。

 

〈研究1〉

著者:秋本光紀、大坪稜、重野ゆら、チョブギョン、武藤結衣、加藤拓巳

タイトル:パッケージにおける商品の動きに連動した長音符形状の購入意向への影響

形態:口頭発表

概要:パッケージデザインは消費者の購入意向に大きく関わっている。安易にデザインを変更すれば売り上げを大幅に落とすことになる。パッケージデザインの要素に、文字をデザインとして扱うタイポグラフィがある。しかし、商品の動きや形状に連動したタイポグラフィの知見は乏しい。また、食品の魅力を五感に訴えかけて消費者の購買意欲を刺激する手法をシズル感といい、近年はシズル感を活用したデザインに企業は大きな注目を寄せている。そこで本研究は「食品の動きや形状に連動したタイポグラフィをパッケージデザインに活用することで、シズル感が演出され、購入意向が高まるか?」というリサーチクエスチョンを設定した。検証は、20-60代の男女450人を対象に、オンライン環境下でランダム化比較試験を行った。その結果、商品の動きや形状に連動したタイポグラフィは有意に購入意向を高めることが明らかになった。また、50-60代の高齢層においては、若年層と比較し、より購入意向が高まることが明らかになった。本研究により、動画や画像だけでなくタイポグラフィにおいてもシズル感が演出できることが示唆された。

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<研究2

著者:河西淳志、中村梨琴、清水碧音、高橋耀生、松本佳奈、加藤拓巳

タイトル:商品ブランドにおける地名が魅力度に与える影響ー産地との関連性とブランドイメージの高低の視点からの検証ー

形態:口頭発表

概要:感性マーケティングの領域では、商品における産地に関して膨大な知見が蓄積されている(COO効果)。しかし地名が持つブランド力の影響や、原産地と生産地としての地名の違いに関する研究は不足している。本研究では、「食品において生産地(非原産地)と比較して,原産地のCOOはより商品魅力を高める」、「食品において,低いブランド力の地域と比較して,高いブランド力の地域のCOOはより商品魅力を高める.」という2つの仮説を導出した。そこでチーズケーキを商材とし、日本の政令指定都市を用いて調査を行った結果、地名とブランドや商品の結びつきは商品の魅力を高めるが、それらを抜きにしても、地名自体に価値があり、商品の魅力を高める傾向があることがわかった。

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<研究3>

著者:岩井隆宏、石尾美里、奥澤知世、田中美桜里、林咲希、加藤拓巳

タイトル:動画広告における英語刺激が商品魅力に与える影響 ―空飛ぶ車を対象とした実験―

形態:口頭発表

概要:現代の英語には、機能的役割だけでなく情緒的役割もあるとされている。機能的役割とは、コミュニケーションの手段としての英語を指し、情緒的役割とは、ポジティブなイメージを創出するための英語を指す。しかし、学術研究においては「情緒的役割」に関する知見は乏しい。そこで本研究では、空飛ぶ車という先進的かつ未来志向の商品を対象に、動画広告における英語刺激(英語音声・英語字幕)が商品に与える影響を明らかにすることを目的とした。2060代の男女を対象に、オンライン環境下でランダム化比較試験を実施した結果、視覚的な英語の印象付加(英語字幕)が商品の購入意向に有意に正の影響を与えることが明らかとなった。さらに、英語字幕の効果は男性よりも女性の方が顕著であり、また若年層の方がより強く影響を受けることが確認された。これらの結果から、日本市場向けの広告において、「英語」を適切に活用することで、消費者が商品やサービスに抱くイメージを転換できる可能性が示唆された。

 

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