2020.07.01
【2019年度第1回商学部スノーピーク研究・実践奨励金 成果報告書⑥】バリューチェーン(フードシステム)的観点からの、日本ワインによる地域活性化可能性の考察
[概要]
私たち中川ゼミナール日本ワインプロジェクトの現3.4年メンバー(4年:髙橋 3年:嶋野、山中、黒岩、元持)は、商学部スノーピーク研究・実践奨励金プログラムを利用して、「バリューチェーン(フードシステム)的観点からの、日本ワインによる地域活性化可能性の考察」を研究テーマに設定し、8/25~26,10/6の2回に渡り、埼玉県秩父市にある中小規模ワイナリーである株式会社秩父ファーマーズファクトリーに対するインタビュー調査を行った。
[研究の背景]
日本ワイン産業は、第1次産業(原料ブドウ生産)~第2次産業(ワイン製造)~第3次産業(ワイン販売や併設レストラン経営)を一気通貫で行う産業であるため、6次産業化を推し進め、雇用の創出・観光集客といった観点から地域活性化の起爆剤になると期待されている。
しかし、日本のワイナリーの92%を占める中小規模ワイナリー(年間生産量300kl未満)の経営状況は芳しくないため、期待されているような地域活性化が果たされているかは微妙なのが現状である。
そこで、ワインの製造・販売でどのように利益を生み出そうとしているか知るために、秩父ファーマーズファクトリーに協力して頂き、調査を行った。
[現地調査での様子]
現地調査では、ワイナリーの社長である深田和彦社長と社員の井上浩之さんに対するインタビュー調査に加え、実際のワイン製造に参加させて頂くことで、「自らの目で見ないとわからない」日本ワイン産業のバリューチェーンを発見することが出来た。
- インタビュー調査の様子
- ワイン製造工程への参加
そのなかでも最も大きな発見は、「地域性(テロワール)」を推し出してワインに付加価値をつけているということであった。
- <秩父の契約農家から運ばれるマスカット・ベーリーA> 全てのワインは100%秩父産のブドウから製造される
- 秩父が誇る世界的ウイスキーであるイチローズモルトの熟成で使われた樽を使用して、ワインを熟成している様子
[これからの研究の展望]
今後も秩父ファーマーズファクトリーに訪問し、原料ブドウ生産工程、ワイン製造工程、ワイン販売工程に参加させて頂いたり、インタビュー調査を行うことで、ワイナリーがどのようなバリューチェーンを形成しているか引き続き調査するとともに、日本ワインの市場ニーズを知るために、消費者側へのアンケート調査を行っていきたい。
そして研究で明らかになったことを生かして、ゼミ活動として学生の目線から日本ワインの発展に貢献するような活動を行っていきたい。
※この研究は,株式会社スノーピーク社長・山井太様(1982年商学部卒業)からの寄付を原資とした「商学部スノーピーク研究・実践奨励金」の給付を受けて実施されました。
- 秩父の他酒類メーカーと共同で開催したイベントの様子