授業

2022.03.10

SDGs✕伝わる日本語 ―森永ゼミと黒﨑ゼミの合同授業を実施しました(2021年11月18日)

森永由紀・黒﨑典子(担当教員)

 環境学を学ぶ森永ゼミと言語学を学ぶ黒﨑ゼミが、SDGsのゴールとターゲットを学びながら、どのようにしたら相手に伝わる日本語にできるのかに取り組む合同授業ワークショップを実施しました。課題解決型の学問である環境学にとって、「いかにして伝えていくのか」は切実な問題です。そして、言語学の立場からは、言語の理論を学ぶだけではなく、伝えるためにどのような表現を使えば良いのかを実例に基づき考えることは、伝える言葉の本質を捉え、言語的センスを磨く良い練習となります。こうした、二つのゼミナールの目的を「SDGs」という素材で結び付け、お互いの強みを生かしながら、ワークショップ形式で学び合う合同授業を行いました。

 授業では、SDGs17のゴールごとに森永ゼミ生と黒﨑ゼミ生がペアとなり、それぞれのターゲットを「伝わる日本語」に直す活動を行いました。事前準備として、森永ゼミの学生が17のゴールを自分自身のことばで説明したものを作り、それを黒﨑ゼミの学生が読んでおき、合同授業に臨みました。授業の最初に、黒﨑ゼミの学生が<やさしい日本語>(注)の概要を説明し、それを参考にして、ペアで日本語レベルが初級後半から中級後半の学習者(大学生)を対象とした読解教材に使用できる「日本語」への翻訳を試みました。

 初対面のペアも、自己紹介や翻訳活動を通して活発な議論ができ、お互いの翻訳案を検討しながら、日本語から日本語への翻訳の難しさ、そして、SDGsや環境問題についても深く実感しながら学べたようです。

 両ゼミとも、商学部内での合同ゼミは初めての経験でしたが、ゼミ生にとっても良い刺激となり、ゼミナールらしい活発な議論が続く授業となりました。

 今回の成果は、今後日本語学習者とのディスカッションや日本語学習教材制作へと発展させる予定です。

(注)<やさしい日本語>とは、多文化社会における相互理解のために、どのような日本語を使うと良いかという考え方の指針の一つです。阪神淡路大震災の際に情報弱者となった外国人が、割合として日本人の約2倍亡くなり、約2.4倍負傷しました。そのようなことを起こさないために、どのような情報伝達手段が有効かを研究した「減災のためのやさしい日本語」がベースとなっています。<やさしい日本語>はそれを発展させ、生活者に対するものとして提唱されたものです。                                                                                       (担当教員 森永・黒﨑 (文責:黒﨑))

■参加学生の声(抜粋)■

〇自分たちだけでは普段見ることの出来ない視点からの意見を聞けて、とても有意義な時間になりました。 それぞれのゼミの特徴を活かし、合わせることにより、SDGsについてより深く、広く掘り下げることが出来ました。機会があれば是非また一緒に学びたいです。(森永ゼミ2年生 鬼澤俊希)

〇 自分たちが学習しているSDGsを題材に改めて伝える・伝わることの難しさを感じることができ楽しかったです。また自分たちは再度ターゲットをじっくり咀嚼するいい機会にもなりました。(森永ゼミ2年生 滝下大生)

〇自分と違うことを学んでいる人と、お互いの学びを生かして、何か完成させる機会はめったにないことだったので新鮮でとても楽しかったです。

<やさしい日本語>について、勉強し始めたばかりでしたが、森永ゼミの方に向けて説明することで学んだ範囲の知識を復習でき、理解が深まりました。

 また、書き換えに苦戦する中で、言葉をやさしくするには、まずその言葉の持つ意味を知る、あるいは正しく捉えるところから始まるのではないかと感じました。その点で、環境学を勉強している森永ゼミと協力することはとても有意義であり、お互いの学びを生かして「やさしいSDGs」を完成させることができたと思います。また機会があれば、是非合同で活動したいです。                                                                      (黒﨑ゼミ2年 荒木 瑠梨)

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(森永✕黒崎)写真2枚目差し替え1.jpg

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