授業

2022.03.17

「学習地域社会」としてのまちづくり~埼玉県小鹿野町の地域の学び舎『おがの発「大人の学校」』にてワークショップ開催~

中川 秀一(担当教員)

 特別テーマ実践科目Cでは「学習地域社会」をテーマに、まちづくりについて考えるワークショップを12月18日(土)に小鹿野文化センターにて開催いたしました。私たちは、埼玉県小鹿野町の地域おこし協力隊である宇佐川拓郎さんが代表を務める『おがの発「大人の学校」』にてオープン講座『小鹿野の魅力再発見』に講座の企画・主催者としてとして参画しており、小鹿野町の住民の方々のご参画を得ながら2021年9月から小鹿野町の課題に関するテーマに即して4回にわたる講義を開催してきました。今回はその活動の総まとめと位置づけ、学生がファシリテーターとなって町民の皆さんとグループディスカッションをしてさらに議論を深めるという内容でした。
 小鹿野町は埼玉県の北西部に位置し、山脈に囲まれた古い市場町の面影を残す市街地を中心に、宅地が耕地がモザイク状に広がる町です。中心部の小鹿野地区では、県内でもいち早く教育・交通・産業の振興が進められ、西秩父地域の中心地として発展してきました。200年以上の歴史をもつ小鹿野歌舞伎や国指定天然記念物のようばけをはじめ、自然・文化資源も有しており、町民たちの多くがそれらの保全・活用の取り組みに自発的に参画しています。また、地域おこし協力隊の活用やバイクによる町おこしなど、行政の地域づくりの手法も注目されています。

 ワークショップでは、学生たちが夏以降調査を進め、これまでの講座で問題提起をしてきた、小鹿野町の「教育」「自然資源」「景観保全」「伝統文化」のそれぞれのテーマについて議論を深めました。当日に向けて、企画・チラシ作成・会場手配・参加者への連絡なども、大人の学校の宇佐川拓郎さんと副代表の新井佑香さんに支援してもらいながら準備しました。当日は、森慎太郎小鹿野町長、笠原浩元小鹿野町教育長をはじめとする、27名の方にご参加いただき、活発な議論がなされました。
 ワークショップ前半では、4点に分けたテーマそれぞれについて、地域おこし協力隊や移住者の方々に外部の視点としてスピーチをしていただきました。後半ではそのスピーチの内容も参考にしながら、それぞれのテーマごとのグループに分かれてディスカッションを行いました。各グループのファシリテーターは学生が担い、参加者の皆さんの考えや取り組みについて話し合いました。多くの意見が飛び交い、小鹿野町について語り合う空間を作ることができました。

 参加者アンケートでは「移住者と住民の両方の立場から意見を得ることができ、問いが立体的になった。」「参加して楽しむことができた上に、町の課題について自分が持たない角度から知ることができ、とても勉強になった。普段からお会いするような方でもなかなか地域課題について考えを伺う機会が少ないので、いつもとはまた違った交流の場となり、有意義だった。」と評価していただきました。一方で、「それぞれの熱い思いを聞くことができた。思いが熱すぎてディスカッションになかなかたどり着くことができなかったので、もう少し学生がコントロール出来るとよかった」というご意見もいただき、改善点もあるということを実感しました。
 ワークショップ開催後、アンケートの集計と会の振り返りを学生で行い、今回の反省点と課題についてまとめました。来年度以降の活動に役立てていければと考えています。
(学生代表:山口雅乃)

ワークショップの様子 小鹿野町両神ふるさと総合会館2021年12月8日 中川秀一撮影
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