卒業生訪問

2023.07.18

商学部での学びの先に

商学部4年 岡村紳平 〔商学部の現場〕編集部記者

明治大学商学部では、社会にでてから必要となる商学の専門的な知識を学びます。 商学部の学びはどういった場面で必要になってくるのでしょうか? また、商学部で学んだ中で役に立った知識は何なのか? この疑問について、実際に、明治大学商学を卒業されレッドブル・ジャパンで活躍されている宮﨑達哉さんにインタビューしました。

記者:よろしくお願いします。

宮﨑さん:まず、始めに経歴からお伝えしますね。明治大学卒業後、日本食研に就職しました。調味料をスーパーマーケットや、デパ地下のお惣菜屋さん、またホテルなどに販売していました。そして2021年にレッドブル・ジャパンに転職しました。売場をどうやって作っていくかなどを現場の方と交渉する仕事を行っています。

記者:ありがとうございます。商学部で学んだことをお仕事の中で使うタイミングはありましたか?

宮﨑さん:はい。4P戦路や3C分析やSWOT分析(*)は商品開発の際に実際に当てはめて、日本食研で商品を開発していました。 

  * 4Pとは (Product 製品 Price 価格 Promotion プロモーション Place 流通)
  * 3Cとは (Customer 顧客  Company 自社  Competitor 競合)
  * SWOTとは (Strength 強み  Weakness弱み  Opportunity 機会  Threat 脅威)

記者:商学部の知識は直接会社で仕事をされる時に使われているのですね。ただ、4P戦路や3C分析などに当てはめて商品を作ったとしても必ず売れるとは限らないと思うのですけど、売れない可能性があっても販売をスタートしますか?

宮﨑さん:そうですね、実際にいきなりドカンと売れることはめったにないですね、もちろん売れない商品もあって、それが売れるように味のトレンドやターゲットにアプローチをしていき定着させる努力をしていきます。
売れなかったときは、なぜ売れなかったんだろうと価格やパッケージを見直し、売れるように変化させていく努力をしていきます。 

記者:そうなんですね、商品開発したあとも定着させるために、また4P戦路を見直したり、売れていない原因を突き止たりする力が必要で、さらにそれを解決していく必要があるんですね。

 宮﨑さん:はい、レッドブルはエナジードリンクのみを販売しており、日本食研の9000品種と比べると、とても少ないです。レッドブルはもちろん製品を売りますが、ブランドを売る、ブランドの認知をあげるというような活動に力を入れています。なので音楽やF1、スキージャンプの選手たちとのプロモーションもしています。広告に、芸能人は起用していません。理由は、その人のイメージが強すぎて、製品イメージとして固定されてしまうからです。

自己紹介していただいた際の写真

記者:ありがとうございます。レッドブルさんは製品はエナジードリンクのみの販売のため、製品ライフサイクル(*)を延ばすためにマーケティングを重視すると思うのですが、なぜエクストリームスポーツや音楽なのですか?

    * 製品ライフサイクルとは 製品が市場に投入されてから、寿命を終え衰退するまでのサイクルを体系づけたものです。

宮﨑さん:「レッドブルは翼をさずける」というフレーズがありますよね、それを実際にエクストリームスポーツのアスリートがレッドブルを飲むことで、見ている方にも翼がさずかるのだ、と伝えられます。

記者:ありがとうございます。確かに、レッドブルを飲めばエクストリームスポーツを成功させられるぐらい集中力がでるイメージがあります。
宮﨑さんは現在、ディスカウントショップを中心に売場構築のお仕事をしているとお聞きしました。お取引先への提案はすんなりと通るものでしょうか?

宮﨑さん:そうですね、ディスカウントショップさんでは様々なエナジードリンクをよく売っていただいています。なのでレッドブルが新しいことをディスカウントショップさんで実現するためにどうすればいいかを考え、実際に海外で行っている事例をお伝えして、他社製品を含めて売場全体の提案をしています。

記者:他社エナジードリンクを巻き込んで、エナジードリンク産業自体の規模を大きくしようとしているのは意外ですね。てっきりレッドブルだけの売り場を作ると思いました。

宮﨑さん:他社製品が強い立場にあるということもあり、エナジードリンク全体でのコーナー作りでないと小売店さんへの説得も難しくなります。長期的に販売していくとなると必要なことですね。

記者:ありがとうございます。続いて、学生時代はどのような勉強をされていましたか?

宮﨑さん:そうですね、様々なことを学びました。僕が印象的だったのは、「お客さんが欲しいのはドリルではなく、ドリルであけた穴である」という言葉ですね。そこから、マーケティングについての学びが始まると思うのですが、今はその目的や本質を考えてイメージをしています。例えば、3Cだとレッドブルでいうと誰なんだろうというように、学んだ知識が使われる場所などをイメージし、自分の生活に置き換えています。

授業について僕は大学3年生になってから勉強するようになったというか、目的が変わりましたね。ゼミに入ってケーススタディをやっていたのですが、始めは自分がこれに対して、どう考えればいいのか、先生からの質問にどう答えればいいかわかりませんでした。そこから単位をとるだけでなく、何かに使えないかと思いながら勉強し始めました。コンビニバイトやバーでのアルバイトをやっている中で、知識を使う場面を考えていました。考えてもイメージできないことは先生に聞いたりしてました。

社会にでてからも同じ競合の会社について知識は入れるんですけど、自分の仕事に置き換えないと使えないですね。しかも知識を入れたからといってすぐ使うわけでもなくて、そういえばこれ使えるな、これとこれを組み合わせたら使えるとふと気づいたときがでてきますね。課題に直面したときに、使える知識の引き出しを用意しておく感じですね。

お話しいただいている時の写真

記者:なるほど、実際に課題に直面したり、ふとした時にこれ使えるぞと考えながら知識をいれて、やっと、ここぞという場面で生きてくるんですね。ゼミでの学びで他に何か役に立つことはありましたか?

宮崎さん:マーケティングゼミの竹村先生がおっしゃってたことなんですけど、「書を持って街にでよ」を覚えてます。ゼミで先生がお伝えしていると思うんですけど、「なぜ」からの問題提起ですね、社会にでてからも自分事で「なぜ」と考えないと他人事になってしまうので、何も生まれないと考えていたので卒業後はよく考えていました。
もう一つは正しく応えるですね。今ある自分の最大限で応じられるのか、常に見つけることは大事だと思います。
あとはNewの創出ですね。社会にでると、新しいことをするのは価値があると思うのですが、新しいことをするための礎の考え方をもつ必要があると思います。

記者:確かに自分の場合、なぜと思ったことはあっても自分で答えを出すことが今まったくできないですね。最大限自分で答えを引き出すことが大切なんですね。もっと勉強しないといけないと感じます。

宮﨑さん:竹村先生がおっしゃっていた水瓶の話しがあって、高校生は知識を受けとめている状態で水瓶に水を貯めている最中。大学や社会にでてから、その貯めた知識をどうやって使うかが大切だと今も感じます。

記者:なるほど、僕はもっと水を貯めないといけないですね。それをどうやって使うかもっと具体的にイメージできるように残りの学生生活がんばります。

宮﨑さん:努力には正しいタイミングと正しい方向性が必要であり、大切だと思います。高校生の時代を振り返って、あの時やっておけばよかったと思うことがあると思います。残りの大学生活を圧縮してがんばってください。

記者:宮﨑さん、ありがとうございました。

お使いになってた教科書の写真。記者である自分もこの教科書を使っています。

今回はレッドブル・ジャパンで活躍される宮﨑達哉さんにお話しを伺いました。実際に大学での学びが社会人になって使えるようになるには、日常的にどうやって使えるか考えながら知識を入れていく大切さを教えていただきました。大学のゼミでの教授との出会いも、学びの大切さや面白さに気づけるきっかけになり、社会にでてからも活躍するのに大きな力になっていると感じました。

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