留学

2024.03.25

フレンチファッション・プログラム 2024年2月

東野 香代子(担当教員)

特別テーマ海外研修科目「フレンチファッション・プログラム」を2024年2月に実施しました。2月10日から25日までの14泊16日の行程で、34名の明大生がパリ研修旅行に参加しました。 2024年はパリオリンピックが開催されるので、服飾関連の美術館でもスポーツとファッションをテーマにした展覧会がいろいろ開催され盛り上がっていました。ただし、オリンピックの影響は良いことばかりでもなく、開催に備えて交通機関のリニューアル工事が盛んに行われ、メトロの通学路線で乗り換え駅が工事で閉鎖されて遠回りをせざるを得なかったり、バスが道路工事のため経路変更して目的地の近くで降車できなかったりといった、普段よりも少しだけ試練の多い研修でした。
モダール学院の前で記念撮影

今年度のプログラムはVMD、ブランディング、マーケティング、サステナビリティなどの授業に加えて、ファッション企業での研修から課題を提示され、学生がアイデアを発表するという実践的な内容が特徴でした。FFP2023_program_J.jpg

研修の様子を写真で紹介します

 写真 1,2,3,4 
モダール学院でのビジュアル・マーチャンダイジング概論のレクチャーの後に、実際にハイブランドの店舗を訪れ、理論がどのように具現化されているかを学びました。今回は、ブランド業界の2大コングロマリット、LVMHグループとKeringグループの出店合戦が繰り広げられているシャンゼリゼ大通りに出向きました。人気のハイブランドは、すぐ近所のアヴェニュー・モンテーニュに店があるにも拘わらずシャンゼリゼに新コンセプトの大型店を展開し始めています。ナイキやアップルの大型店も視察して、ブランド戦略の違いを比較できた課外学習でした。

 写真 5,6,7,8 
agnès b.(アニエスベー)社での研修。ブランドのコンセプトや創業デザイナーの創作哲学を学び、その後、アトリエやショールーム、店舗VMDを見学。アトリエは発表前の新作デザインの作業中なので撮影できませんでした。昼食をはさんでの終日研修だったこともあり、agnès b.店内併設のカフェでランチをご馳走になりました。ここにも創業デザイナーのアニエスが考えるブランドコンセプトが反映され、オーガニックな食材を使ったおいしい料理でした。

 写真 9,10 
ディオールギャラリーの展覧会。オートクチュールの壮麗な作品展示とムッシュ・ディオールへの愛にあふれる空間でした。プティットマン(お針子さん)のビーズ刺繍実演もありました。

 写真 11 
Fashion Green Hubを訪問して、循環型ファッションや、縫製仕事による女性の自立支援などの社会貢献事業に取り組む団体の活動を具体的に学びました。サステナブルな社会を目指すファッション関係者のハブとして機能することが名前の由来です。

 写真 12 
フラゴナール香水博物館。フレグランスの歴史展示見学の後に、実際の香りを試してエッセンスを知り、香水のつけ方も教えてもらいました。

 写真 13 
パリ装飾美術館で「モードとスポーツ」展を鑑賞。古代ギリシャから現在に至るまでのスポーツウェアの歴史が分かるオリンピックイヤー記念の展覧会でした。昔の人は随分と着込んで運動をしていたようです…。

 写真14 
ポン・ヌフにあるルイ・ヴィトン本社ビルの常設展「LV Dream」では、日本語の話せるフランス人スタッフが説明をしてくれました。最近はパリで日本語の話せる人に巡り合う機会が増えました。

 写真 15,16 
研修最終日の学生プレゼンテーションの様子。企業から提示された課題を英語で発表しました。

参加した学生からの感想の一部をご紹介します。

  • 英語が苦手で参加前は不安だった。しかし、憧れのパリで、日本では経験できない環境のもと、ラグジュアリーファッションをより深く学べ、充実した貴重な体験ができた。美しい街並みの中で夢のような二週間だった。

  • 他学部から一人で申し込んだので出発前は不安だったが、事前学習会や現地の授業を通して気の合うたくさんの友人ができ、充実した研修を過ごせた。一人で飛び込んでみて良かった。理系学部からの一人参加者も、最初に抱えていた不安は全く問題なく解消できたと言っていた。

  • 留学が初めての人に勧めたい。現地でも旅行代理店の方や同行してくださってる先生がいるので、万が一のことがあっても対応してもらえる。

  • スマホやパソコンの画面上では得ることができないファッションの魅力を存分に味わった。

  • 普通の旅行では入れないブランドの本社や工房、NPO施設などを、見学するだけでなくレクチャーもあり貴重な体験ができた。

  • ブランド本社研修は、単なる見学ではなく、その後に課題として意見を発表する機会があり、ブランドビジネスの流れが分かった。

  • 実際にブランドで働いているフランス人に自分が疑問に思っていたアパレル産業のことをたくさん質問することができ、更なる関心や興味を持った。

  • 質問の機会をたくさん取ってもらったが、なかなか発言できなかった。英語もさることながら、ファッションやマーケティングについて出発前にもっと学んでおけばよかったと感じた。

  • 事前学習ではファッション史や主要ブランド概論の講義があるので、受講すると研修先での助けになる。

  • 最先端のブランディングを肌で体験することができた。フランス語ができなくても、英語で挨拶と感謝の気持ちを伝えればパリの人たちは優しく対応してくれた。

  • 二週間の滞在で日本では見たことがない面白い文化も体験でき、日本の良さ・悪さを再認識できるきっかけになった。海外のビジネスを学び、異文化を体験し、将来につながる経験ができた。

  • 各ブランドのDNA Code について明確に言語化された授業が興味深かった。今まで何気なく感じていた「そのブランドらしさ」の要因を学んだ後に商品を見て、ぼんやりと感覚的に感じていたものをきちんと理解できたのは気持ちがよかった。

  • 日本とフランスではハイブランドビジネスの発展に大きな差があるため、フランス現地で学ぶ価値は非常に高かった。

  • パリに行ってみたいというだけで参加したが、この二週間でマーケティングやファッションショー、ジュエリーや香水についてなど、ファッションを様々な角度から本格的に学べたことで、業界のどの分野に興味があるのか自分の中で整理できた。

  • 街中を歩く人やショップにあるトルソーのスタイリングを見ながら、良いと思ったものをメモアプリに書くなどスタイリストを目指す自分にとっての個性的な楽しみ方をした。

  • 自由研修で美術館にもたくさん行くことができた。特にルーブルは日本の美術館とは比べることができないほど壮大で、フランスの芸術性の高さに驚きながら、ブランドビジネスやラグジュアリービジネスが発展する背景を理解することができた。フランスが成し遂げてきた歴史が現在のフランス人の誇りを生み出し、独自性を持った産業の発展に繋がっていることを強く感じた。
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