授業
2024.06.20
マーケティング管理論にてStrategy & 赤路陽太氏の講演
加藤拓巳(担当教員)
2024年6月10日に,加藤拓巳専任講師の担当するマーケティング管理論にて,Strategy & 赤路氏に,「真に価値を発揮するマーケティング」をテーマに講演して頂いた。
<講演概要>
- マーケティングの本質は売れるようにすることである。そのため,マーケターは事業のすべてを理解し,その視点を持って顧客を分析し,適切な施策を検討しなくてはならない。商品・サービスの企画,設計,製造,販売促進,営業,カスタマーサクセス,モニタリングなどを網羅的に理解し,戦略を立案する。提供すべき価値を見極め、顧客が購入したいと思う商品やサービスを開発するだけでなく,顧客を購入に至らしめ,購入を継続させる全てのプロセスについて,顧客を理解して施策を検討しなくてはならない。
- 「顧客起点」「顧客中心」は昔から存在している不変の真理であるが,1987年にスカンジナビア航空の経営層が「重要なのは顧客に直接接する最前線の従業員が提供するサービスの質である。一回の応接時間は平均15秒で,1年間に5,000万回従業員と顧客が接する。その5,000万回が真実の瞬間であり,顧客を納得させなければならない」と述べたとおり,真にインパクトを生む部分を捉えることが重要である。
- そうしたことを突き詰めていくと,たとえば食のような超コモディティでレッドオーシャンに思える領域でも新たなサービスを生み出すことができる。例えば大阪ガス様のFitDishは,生活者の「献立を決められない(分からないや面倒ではない)」という困りごとに着眼し,サービサー側で献立をセレクトして宅配するサブスクリプションサービスを開始し,実績を伸ばしている。
- また、世の中は変化し続けるため,その変化の兆しを理解することもマーケティングには不可欠である。例えば,直近15年間で急速に成長している新たな販売チャネルがある。ふるさと納税である。自治体の税収と返礼品収益の合算ではあるが2022年で約1兆円規模に成長しており,すでにコンビニエンスストアの1/10程度になっている。こうした世の中の変化を普段から理解しておくことも,マーケターにとっては重要である。
<講師プロフィール>
Strategy&, Director赤路陽太氏
PwCコンサルティング、Strategy&のディレクター。デンソーの製品事業企画、リクルートの媒体事業統括、複数のコンサルティングファームを経て現職。エネルギー産業、自動車産業、情報サービス産業に精通し、新事業開発、戦略策定、事業変革、デジタル、Go to Market、サステナビリティなどのテーマについて豊富なコンサルティング実績を有する。また、有識者として、メディアからの取材依頼、産業団体などからのセミナー登壇依頼などを数多く受けている。