2024.09.19
特別テーマ実践科目B「ムスリム共生プロジェクトⅠ」成果報告会
ハディ ハーニ(担当教員)
2024年度春学期・特別テーマ実践科目A「ムスリム共生プロジェクトⅠ」の成果報告会が、7月15日に開催された。本科目では、グループワークを通じて、イスラームとは何か、また主に日本に住むイスラーム教徒(以下、ムスリム)が生活の中で抱えている様々な課題について知ることから始まり、その課題の解決法を立案し、最終的には実行に移すことを目標としている。
今年度は、各グループが以下の課題をグループテーマとして設定した。
- 日本の学校給食におけるハラール対応の可能性について
- 日本の医療現場・病院におけるハラール対応の可能性について
- 日本の学校教育におけるムスリム児童の状況、および国内イスラーム学校について
- 日本社会におけるモスクの社会的機能について
これらは近年、複数の国内研究者らによって実際に調査・研究が進められているテーマでもあり、社会的な要請が高まっているといえる。今学期には、各グループはまず、先行研究やインターネット公開情報を通じた文献調査を行い、課題の洗い出しとまとめを実施した。学期中にはこうした文献調査以外にも、イスラームに関する基礎文献の輪読、大学生協でのハラール(あるいはムスリムフレンドリー)食品の調査や、東京ジャーミイを実際に訪問しての見学会などを実施し、実践的な知識の獲得を目指した。
なお来学期には、洗い出した課題に対して、学生として関与し得る範囲を検討し、実際に何か行動に移すことを目標に、グループワークを実施する予定である。
学生として、また実際にムスリムとの交流を通じてこれらのテーマについて検討することの意義は、単にイスラームやムスリムについての実践的な知識を得ることに留まらないものと考えられる。特に、少子高齢化が進む昨今の日本社会において議論が過熱している、(宗教・民族性・性自認などを含む)一般的な多様性、具体的な政治課題としては移民の受け入れへの是非や、ナショナリズムの問題などを含む広範なテーマに対して、自分なりの意見を持ち、実践に結びつけることにもつながるだろう。
東京ジャーミイ見学会の様子
最終プレゼンテーションの様子