2025.01.16
ゲストスピーカーによる特別授業実施報告:ウォルフガング アンゲル氏【リーデル社の歴史とビジネスモデル】
ジェームズ・アンドリュー(担当教員)
1.実施日
2024年 12月 11日(水) 9:00~:10:40
2.実施場所
和泉キャンパス、図書館ホール
3.科目名
総合学際演習
4.ゲストスピーカー
ウォルフガング アンゲル氏(肩書:リーデルジャパン社長)
5.実施内容
リーデル社はオーストリアの有名なワイングラスメーカーです。数多くのメーカーの中で、リーデル社のコンセプトは非常にユニークです。ほとんどのメーカーは赤ワイン用と白ワイン用のグラスを幾つか作っていますが、リーデル社ほど葡萄品種ごとに作るメーカーはいないです。アンゲル社長は、リーデルのコンセプトを分かりやすく説明してくれました。ブドウ品種によって、香り、酸味、タンニンは異なるので、グラスの大きさやデザインによって飲み手の感想は大きく左右されます。より広いグラスから飲む場合、口全体に味が広がり、酸味が協調されます。一方、狭いグラスから飲む時、舌の上にワインが流れ、違う印象が与えられます。ストラクチャ(ボディ)はよりしっかりしているように感じる事もあります。ワイングラスを教室に持ってきたアンゲル氏は、水を使って流れの違いを丁寧に説明してくれました。学生は、自ら形の違いを実感出来てとてもよかったです。
リーデル社の歴史はとても興味深いです。世界第二次戦争後再出発になったリーデル社は大変身しました。以前ボタン、照明、様々なグラスを作っていたが、専門的なワイングラス作りが中心になりました。戦争前ワインラバーの間でユニバーサルグラス使用が一般的だったが、リーデル社はその概念を大きく変えました。ボルドー地方のワイナリーからアドバイスを聞き、カベルネソーヴィニヨンというブドウ品種にあうグラスを作ってみてから、ブルゴーニュや他の地方の品種に適しているグラスを作り始めました。現在約200種類のワイングラスを生産しているリーデル社はワイン生産者の意見を聞いてから新しい商品を出す事にしています。
グラスデザインだけでなく、ワイングラス教育にも力を入れています。世界中毎年数百回ワイングラスゼミナールを開いているリーデルは、ワイン愛好家、ソムリエ、インポーターに会社のコンセプトを理解してもらい、知識を増やそうとしています。アンゲル社長の話を聞いた学生の反応が非常に良かったです。とても貴重な講演になりました。