授業

2025.08.21

ゲストスピーカーによる特別授業実施報告:シャム・アルン氏【テーマ:多言語国家インドにおける日本語教育-言語・文化・アイデンティティの交差点から考える】

黒﨑 典子(担当教員)

1.実施日

2025年7月3日(木)15:20~17:00

2.実施場所

和泉キャンパス 510教室

3.科目名

総合学際演習(2年)

4.ゲストスピーカー

シャム・アルン氏(肩書:国立国語研究所プロジェクト非常勤研究員)

5.実施内容

 これまでハイデラバード英語外国語大学(インド)にて日本語教育に携わり、現在国立国語研究所においてプロジェクト非常勤研究員をされているシャム・アルン先生をお招きし、ご自身の日本語習得についての話を交えながら、多言語環境における言語観や日本語教育についてお話しいただきました。

 【講義概要】
(1)インドにおける多言語環境
(2)「私」の日本語学習歴
(3)インドでの日本語教育実践

 まず、家庭内言語が、1.英語、2.ヒンディー語、3.日本語、4.マラティ語、5.マラヤ―ラム語、6.タミル語であるというマルチリンガルのシャム先生が、ご出身のケララの紹介をしながらインドの言語分布についてご説明くださいました。公用語だけでなく多くの使用言語があるインドの状況は日本と大きく異なっており、受講生にとっては初めて聞く話ばかりで大変興味深かったようです。
 シャム先生がユーモアを交えながら、高校生の時の日本留学の経験や、出身地とは異なる州の大学に進学し、ご自身が言語的マイノリティになった経験などを踏まえ、国ではなく、個人として人と繋がることの大切さ、そしてそのための手段として言語を用いた対話が重要であることを伝えてくださいました。軋轢、葛藤、回避を繰り返しながらも対話を前向きに進めていくことは、異文化理解において重要であると同時に、どのような言語環境においても個と個が繋がるためには大切だということを気づかせてくださいました。
 最後に、このような言語観を踏まえた上でのインドでの日本語教育の実践とご自身のプロジェクト(「日本語リレー」「世界と私」)についてご紹介くださいました。受講生にとっては、インドの日本語学習者が人と繋がることを目的に動画作成をしながら日本語を学んでいるということが特に印象的だったようです。
 これまで触れる機会の少なかったインドの言語環境や日本語教育についての知識を得られただけでなく、シャム先生ご自身の流暢な日本語や動画で見たインドの日本語学習者の積極性は、受講生にとって自分の学習姿勢や外国語学習に対して大きな刺激となり、大変貴重な時間となりました。

受講生:総合学際演習(2年)10名、総合学際演習(4年)4名  計14名

「日本語リレー」
https://www.facebook.com/nihongorelay

「世界と私」
https://sites.google.com/view/sekaitowatashi/home

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