授業

2025.10.21

マーケティング管理論にて味の素 好村和歌子氏の講演

加藤 拓巳(担当教員)

20251020日に,加藤拓巳准教授の担当するマーケティング管理論にて,味の素株式会社食品研究所の好村和歌子氏に,「食品における体験価値の設計」をテーマに講演して頂いた。

<講演概要>

        食べ物のおいしさは,モノ側ではなく,人側にある。自分がおいしいと思うモノは,他の人がおいしいと思うとは限らない。モノの研究をするだけでは,価値を高めることはできない。よって,味だけでなく,香り,食感,咀嚼音まで含めたトータルでの経験を官能評価する技術が商品開発には不可欠になる。体験価値設計グループとは,その評価技術や価値設計を担っている。つまり,おいしさのデザインが仕事。

        余暇やレジャーと同等,あるいはそれ以上に調理はウェルビーイングにつながることが研究で分かった。よって体験価値としては,食べている時に感じる価値だけでなく,つくっている時に感じる価値も重要であり,そこまで商品設計の範囲に含めている。

        心が乱れている時は,身体も乱れている可能性が高い。人間は食べたものからしかできていないため,食生活は生活のすべてに影響を及ぼす。よって,食品メーカーは,消費者の人生に与える影響が多大である。

        商品開発にあたって,研究所と事業部門のコミュニケーションは非常に重要である。その際,技術者は探索型,マーケターは仮説検証型でアプローチするため,その背景を理解することが必要。

        食品メーカーは消費者に直接営業ができないため,消費者の顔を見られる機会が貴重である。

        味の素は食品メーカーの中でも研究開発を重視している企業である。実際,研究所の社員1,700人のうち,約500人が博士号を取得している。博士号はその道の専門家の証であり,特にグローバルな仕事をする際に有効である。

        味の素では個人のパーパスと組織のパーパスの結びつきを重視する。会社の方針だけでなく,自分が会社を使って実現したいことを求められるため,多くの社員がモチベーションを保ちやすい。

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<プロフィール>

味の素株式会社 食品研究所

ウェルネスソリューション開発センター 体験価値設計グループ

好村和歌子

 

人の感覚や知覚、認知を数値化する感性・心理の評価解析に従事。感性をサイエンスの文脈で解釈可能な形に変換し、データドリブンでの商品開発や新事業創出支援を行う。

 

味の素株式会社 Webサイト:https://www.ajinomoto.co.jp/

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