授業

2025.12.05

商学部3年 田中 咲羽〔商学部の現場〕編集部記者

 こんにちは。

〔商学部の現場〕学生記者の田中です。
高校生の皆さんは、大学生になったら第2外国語として何を学ぶか決めていますか?
明治大学を含め、ほとんどの大学では英語の他にもう1つの外国語を学びます。
今回は、明治大学商学部の第2外国語事情について、フランス語を例に挙げて紹介します。

 商学部では第2外国語として、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、スペイン語、ロシア語の中から選んで学ぶことができます。
 また商学部では、1年次に第2外国語ごとにクラス分けをされ、入学した時から4年間同じクラスになります。そして1年次はそのクラスごとで言語の授業を行います。
ですが、2年次になると商学部独自の制度として、フランス語ドイツ語では、“映画”や“文化”など好きなテーマを選んで第2外国語として学ぶことができます。
今回は第1弾として、フランス語を紹介し、次回の第2弾では、ドイツ語について紹介しようと思います。

 皆さんは、フランスと言ったら何を想像しますか?
エッフェル塔やフランス料理、ファッション、様々なものが思い浮かぶと思います。
 では、フランス語と言ったらどうでしょう?
Bonjour(ボンジュール)”、“Merci(メルシー)”、“Très bien(トレビアン)”など、耳にしたことのある言葉が多いと思います。最近では、“Rendez-vous(ランデブー)”なども歌詞などで使われており、実は気がつかないうちに触れているかもしれません。

そんな、日本でも意外に馴染みのあるフランスやフランス語。今回の記事を通じて少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。 

 ところで、フランス映画を観たことがありますか? 日本にいたらあまり馴染みはないかもしれません。記者も、大学に入るまで全く観たことがありませんでした。ですが、今ではとても好きです。2年生の時に、フランス映画というテーマを選択し、映画を通してフランス語を学んだからです。フランス映画は日本の映画とはかなり違います。ですが、その楽しさに気づくとあっという間に引き込まれてしまうのです。

 今回はテーマ別授業の中から、“映画”の授業を取り上げたいと思います。フランス映画の授業を担当されている高橋明美先生にお話を伺いました。
先生は、本学の卒業生でもあり、商学部で40年以上もフランス語を教え、テーマ別の授業ができた初期から教えています。
記者は2年生の時に高橋先生の授業を受け、フランス語により興味を持ちました。

 授業の具体的な構成としては、『シェルブールの雨傘』というフランス映画のスクリプトを用い、そこから文法などを学んでいきます。また、年間で5作品ほど授業内で映画を観て、それに対して先生の解説を聞いたり感想を書いたりします。

フランス語教科書(シェルブールの雨傘のキャプション)

―まず初めに先生がフランス語やフランス映画を極めるきっかけになったことなどあれば教えていただけますか

 そうですね。私はもともと語学とか本を読むことが大好きだったんです。それで、高校時代に読んだフランス文学が、それまで読んできた英米文学とも違うので、より勉強したいなと思っていました。フランス語を学んだのはそれがきっかけです。そして明治大学に入って、フランス語やフランス文学を学んだら、やっぱり面白かったんですよね。
なので、大学 4年間で足りなかったのかな。もっと勉強したかったっていうのがあって、大学院に進学しました。そして、やがて大学でも教えるようになって、18歳からフランス語を始めているので、そろそろ50年間ずっとフランス語と関わっていますね。
映画に関しては、私は子供の頃から映画が好きで色々観ていました。その中でもフランス映画はね、いわゆるハリウッド映画とは異なり、白黒つけがたいんです。そういうハリウッド系ではない映画に早くから興味がありました。

―先生の授業はとても楽しくて1年間あっという間だったのですが、授業に対する思いを教えていただきたいです

 そうですね。まあ、映画というテーマの授業を担当してはいますが、そうは言ってもこの授業自体は映画の授業ではなく、あくまでもフランス語をもっと習得するという授業なのです。最近は『シェルブールの雨傘』のシナリオを使って授業をしていたり、せっかく映画というタイトルの授業である以上、やっぱり皆さんにもフランス映画に親しんでもらいたいという気持ちは常にあります。
田中さん(記者)も 1年間、授業を通じて色々な映画を観て分かったと思いますが、フランス映画の1番の特徴は、観てもスカッとする映画とは限らないということです。
簡単に言うと、誰が勝ちとか負けとか、この人が良い人で、この人が悪い人だというようなことが分からないんです。
そういうのがはっきりしている映画というのは観ていて楽ですよね。ある意味自分が受動的であっても頭に入ってくるので。でも、そのようないわゆる典型的なハリウッド映画みたいなものは、実は世界の映画を見渡してみるとごく少数なんです。
せっかく大学生なんだから、能動的になっていないと分からない映画に出会うひとつの良い機会になって欲しいですね。

 人生というのは、ほとんどの場合は結論も出ないし、グレーゾーンが多いですよね。時には良いことをしても割を食ったり、悪いこともしていないのになんでこんな目に合うんだろうということだって、この先たくさんあると思います。でも、それでも腐らないで生きていかないといけない。そういう時に、このようなストーリーをたくさん観ていると、きっと何らかのプラスになってくれるんじゃないかな。映画もひとつの経験ですから、そこから得られるものはたくさんあると思います。

高橋明美先生

―高校生におすすめのフランス映画を教えてください

 古い順に、『タイピスト!』、『エール!』、『パリタクシー』の3本かな。
初めの2本は同じくらいの時期の映画で、『エール!』はリメイクでハリウッド映画になっていたり、『パリタクシー』は2023年に日本でも公開された映画なのですが、これは2025年に木村拓哉さんが主演で『東京タクシー』としてリメイクされてますね。その元になっている作品です。『パリタクシー』は誰が観ても面白い映画だと思います。

―ありがとうございます。私は先生の授業で観た『パリ、ジュテーム』がすごい好きで、この映画を通じてパリの深さを知ったので、パリに行ってみたいと思いました。

 うん、あれね。あれは結構気に入った人が多くて、自分でDVD買って何度も観てる人もいますね。
映画を観るということは、他者への共感や他者のことを考えるというような、心の訓練になると思います。それに加え、映画の中には自分の知らない世界を見せてくれるものも当然ありますよね。映画は自分を豊かにしてくれるんですよ。
また映画は、「私はこういうスタンスで、こういうものが正しい」ということを自分で見極める力を養うことに、大いに貢献してくれるはずです。もちろん映画だけじゃないですよ。旅とか本とか人との出会いとか、いろんなものがありますけど、映画もその一つだと思ってますね。

―ありがとうございます。高校生に向けて言語選びやその分野選びのポイントなどあれば教えて下さい

 難しいですね。
これだけ自由な世の中になって何でも選び取れると、逆に選びにくいということがあると思います。でも、だったらひとつの考え方として、何をやりたいか分からない状態で選択をしても、その選んだ先でとりあえず頑張ってみることですね。
要するに、マイナス思考にならないってことです。私だってフランス語やフランス文学をやろうと思ってこの分野を選びましたけど、いつもいつもやりたくてたまらなかったわけじゃないですよ。でもとりあえずここでやってみようって、取り組んでみるってことは必要だと思います。
漕ぎ出さないと自転車が進まないのと一緒で、やり出さないと本当に面白いかどうかなんてわからないですよ。やってみないで文句を言うんだったら、とりあえずやってごらん、です。

―素敵な言葉をありがとうございます。
 ちなみに、フランス語のおすすめポイントなどはありますか。

 今はグローバリゼーションで英語が世界中で話されてますよね。けれどもフランス語だって、フランス本国、ヨーロッパはもとよりカナダ、それからアフリカ大陸、中東にも若干通じるところがあります。それから国連の公用語でもあるし、オリンピックはフランス語と英語で放送されるというように意外と使われている幅が広いんですよね。ですから、フランス語を使っているところにちょっと目を向けて行ってみようかとか、そういうので世界は広がると思います。
やっぱり、英語だけが全てだという考え方はちょっとつまらないと思います。だったらフランス語もどうですかって感じですね。

フランス語先生おすすめのコピー.jpg

 記者自身、映画からフランス語により興味を持ち、今でもフランス語を大学で学んでいます。商学部には、このように語学をテーマ別に学ぶことによって、より好奇心を深めることができます。
また、今回は紹介できなかったのですが、商学部独自のフランス留学制度などがあり、極めたいと思えば極められる環境が整っています。商学部のフランス語に対して、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

次回のvol.2ドイツ語編でまたお会いしましょう。

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