授業
2026.06.12
マーケティング管理論にて株式会社博報堂 参与 加藤昌治氏の講演
加藤 拓巳(担当教員)
2026年5月25日に,加藤拓巳准教授の担当するマーケティング管理論にて,株式会社博報堂 参与 加藤昌治氏に,「PR(public relations)の実務とキャリア」をテーマに講演して頂きました。
<講演概要>
- 広告会社は,生活者,得意先,媒体社,自社の4つのベネフィットを追求する。
- 博報堂には「矛盾や葛藤を抱える生活者として全方位から理解し想像する」生活者発想を根底においてプラニングする考え方がある。
- 「商材・サービス=音源,広告会社=アンプ(+イコライザー),メディア=スピーカー,生活者=オーディエンス」が基本的な役割であると考えている。音源づくりは基本的にはメーカーなど事業会社の領域。広告会社は「アンプ」なので、単体では鳴らない。しかし,どれを欠いても,世の中に音は鳴らない。そして,アンプが違うと音の鳴り方も違ってくる。
- 仕事の進め方はオーケストラの演奏に近い。なぜなら,楽器が細分化され,専門家の種類が増えてきたため(例:プログラマー)。多様な職種・立場の人と協業しながら,成果を生み出していく。
- 広報=脚本家/編集者。シナリオを書くのが広報の仕事。大河ドラマのような長いスパンで書く、あるいは一発もののショートコントも書く。しかし完全オリジナルというよりは、「原作アリ」の脚本化がメイン(企業の広報にとっての原作は、経営理念や経営戦略、そして現業の成果である)。脚本のポイントは,印象深い一瞬として記憶にとどめてもらえるような決め台詞を書くこと。その結果として,「企業イメージ=企業人格」を形成する。
- マーケティング領域のPRは,ピュアなPRとPR系接点での広告がある。
- ピュアなPR:メディアごとに、欲しい切り口≒コチラのイイタイコトとの"相性"はバラバラなため,「報道向け資料」を各メディア向けに提供・プロモートする。そこで,「想定記事」作成手法による目的&目標設定をすることで,ゴールから逆算してPRを設計する。
- PR系接点での広告:「文責」は出稿側であり,100%コントロールできる。しかし,それでもメディアごとに、欲しい切り口≒コチラのイイタイコトとの"相性"はバラバラなため,各メディア向けに提供することが重要である。また各種のルールや倫理的基準を満たす必要がある。
- PRに向いているのは,以下6つの力を持つ人。(1)ものまね力:それぞれの生活者、各種メディアに"なりきる"力はPRの設計に不可欠な能力。(2) 大喜利力:PRは演劇的であり,その場でのアドリブも求められる。(3)レイヤーを移動できる力:議論する際、アイデアを出す際にレイヤーの設定によって、問いもソリューションも変わる。(4)誤読・誤解の少ない表記:あえての表現ではなく、表記と記す。同じ文字数で、共通理解はもっと増やせる。(5) 5人いたら「6つめのアイデア」を出す力:「or」でもなく「and」でもなく必要なら、9つめ、20個めを出す。当初に出た案の中からいきなり選ぶことはしない。出てきた案をベースに、最良の案を新たに生み出す。(6) 「アイデア入りの企画」をこさえる力:アイデアをたくさん出す,よきアイデアを選び,アイデアを企画に整える。

<プロフィール>
株式会社博報堂 研究デザインセンター/UNIVERSITY of CREATIVITY 参与 加藤昌治
1994年博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局(現PR局)に配属。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。その後、博報堂DYメディアパートナーズ(現 博報堂)広報グループなどを経て現職。




