2026.06.01
ゲストスピーカーによる特別授業実施報告:Uchida Yuki 氏(Yuki Uchida Clinic医院長、LA紫紺会前会長)『アメリカの保険』
浅井 義裕(担当教員)
ゲストスピーカー講義では、アメリカの保険市場や近年の社会・経済問題について学んだ。まず、2025年1月に発生したロサンゼルスの山火事について説明があった。山火事はロサンゼルス西部の住宅地域で発生し、特に高所得者層が多く住むエリアに大きな被害を与えた。自然災害が高額住宅地に集中したことで、保険金支払いの規模が非常に大きくなることが指摘された。
また、アメリカにおけるインフレ問題についても取り上げられた。Uchida氏によると、コロナ禍での大規模な補助金政策により、一部で労働供給が減少し、人手不足や賃金上昇を通じて物価上昇につながった可能性があるという説明がなされた。アメリカでは財政政策や労働市場の変化が経済全体に大きな影響を与えることを学んだ。
保険制度については、従業員が職場でけがをした場合には、法定労働者災害補償保険(Workers' Compensation Insurance)が適用されることが紹介された。例えば、従業員が椅子から落ちて負傷した場合でも、この保険によって補償される。これは企業にとって重要なリスク管理制度である。
さらに、アメリカの企業保険市場では、ブローカーの役割が大きいことも特徴として説明された。日本では保険会社直属の代理店が中心となる場合が多いが、アメリカでは企業がブローカーを通じて複数の保険会社の商品を比較・選択する仕組みが一般的である。そのため、ブローカーは企業のリスク分析や保険設計において重要な役割を果たしている。今回の講義を通じて、アメリカの保険市場は日本とは異なる制度や商慣行を持ち、自然災害や経済政策とも深く関係していることが説明された。
講義後の質疑応答では、受講生から活発な質問が寄せられた。特に、日本代表のスノーボード・ハーフパイプ競技におけるトレーナー(ケア担当)としての経験や、アメリカへ渡った経緯について関心が集まった。トップレベルの競技現場で求められるマネジメントやチーム運営、アメリカで働くことになった理由、日本とアメリカの仕事観や文化の違いなどについて具体的な説明があり、受講生は熱心に耳を傾けていた。保険実務だけでなく、国際的なキャリア形成や挑戦する姿勢についても学ぶ機会となり、非常に有意義な講義であった。



