2023.01.26
【特別テーマ実践科目B】京王線沿線商店街 調査実習報告会
中川 秀一(科目担当教員)
商学部で開講されている特別テーマ実践科目B「フィールドワーク調査法」で実施した京王線沿線商店街の現地調査実習の報告会を開催しました。笹塚から芦花公園の駅前商店街のいくつかについて、統計資料や地図などを用いた駅周辺の土地利用や人口構造の分析、杉並区世田谷区地域づくり協議会と駅前地区の整備計画概要、共通の調査項目を設定して実施したヒアリング調査の結果などについて発表しました。
以下、受講生の金田菜楠が報告します。(授業担当:中川秀一)
2022年12月3日に特別テーマ実践科目の一環として、京王線沿線の駅前商店街にフィールドワークを行いました。都市部の都市機能や地域文化と共にある商店街に着目し、商店街の歴史や現状、課題、商店街と周辺の住宅街の関係性を明らかにすることをテーマとして、京王線の笹塚駅、代田橋駅、下高井戸駅、蘆花公園駅の商店街に焦点を当てヒアリング調査を行いました。調査で協力していただいた方々は次の商店街及び周辺町会の方々です。
【調査対象】
笹塚駅:十号通り商店街、笹塚大通り商店街 仲町会
代田橋駅:代田橋商栄会、株式会社沖縄タウン
下高井戸駅:下高井戸商店街振興組合
蘆花公園駅:蘆花公園商店街振興組合、丸美ストア
そして、2023年1月12日に樋代佳一様(株式会社ビックス 執行役員)を明治大学和泉校舎にお招きして、メディア棟M603教室で報告会を開催しました。樋代様は、コンサルタントとして商店街や行政と一緒になった商店街活性化やまちづくり活動のコンサルティング等をされています。私たちは、ヒアリング調査や地図の年代比較、人口の推移等を分析し、考察を行いました。そして、次のような予察を得ることができました。
A:調査を行った京王線沿線では1975~2020年に個宅や商業施設からマンションなどの集合住宅への土地利用変化が進んだことが広範囲で共通して認められた。
B:こうしたAのような変化がもたらしたと推察される人口構造の変化は、駅ごとに違いが大きかった。
C:ヒアリングからは、商店街が後継者難など共通の課題を有していることが明らかになったが、Bのよう側面を踏まえた変化への対応を今回の調査で確認することはできなかった。
D:世田谷区杉並区地域づくり協議会は、駅前に地区単位の計画を立てていることが分かった。今後、これらの計画がAやBのような地域変化を踏まえ、Cの商店街のあり方とどうかかわっているかという研究課題が明らかになった。
ヒアリング調査では、実際に商店街の方々と関わることで今現在抱えている問題やその商店街の特色を肌で感じることができました。また、様々な資料を分析することで統計や地図から商店街を含む地域の状況や歴史を把握する方法を学びました。
私たちの報告について、樋代様からは丁寧なご講評をいただきました。プレゼンテーションの相手に伝わる方法や商店街が抱える問題の解決策の新たな切り口など、どれも私たちの成長につながるものだと感じられました。樋代様は商店街の課題について、「人口や環境の変化ではない根本的なものが隠れており、現状や分析した数値の裏にある真の事実を読み解くことが重要だ」との見解を示されました。加えて、プレゼンテーションの面においても、聞き手の理解度を把握しながらスライドや話に強調部を設け、わかりやすいまとめをすることの重要性を教えてくださりました。これらの点において、私たちはまだ改善の余地があります。今回集めた情報をもとに様々な視点から更なる商店街の分析をすすめ、ヒアリング調査で得た商店街の方々の声を存分に生かすことのできるような研究ができるよう努めたいと思いました。
最後になりますが、本活動においてご協力いただきました商店街や町会のみなさま、樋代佳一様に深く感謝申し上げます。
(文責:商学部2年6組7番 金田菜楠)
- 笹塚仲町会事務所 ヒアリングの後で (2022年12月3日 撮影 中川秀一)
- テーマ実践科目報告会で報告する金田菜楠 (2023年1月12日 撮影 中川秀一)
- 樋代佳一様 テーマ実践科目報告会でのコメント (2023年1月12日 撮影 中川秀一)