2022.02.28
特別テーマ実践科⽬B「社会が求める科学技術イノベーション」成果報告会報告
洞口 拓磨(担当教員)
2022年1⽉7⽇に特別テーマ実践科⽬B「大災害時代の復興未来学」・「社会が求める科学技術イノベーション」の秋学期成果報告会を合同で開催しました。私が担当するこれらの科目を合同で開催したのは、学生ができるだけ多くのテーマに触れ、オンライン授業で少なくなりがちだったコミュニケーションの機会を最大限確保するためです。
イノベーションとは、ある成熟した特定の分野の持つ手法を他分野の課題解決に適用し、その上で社会的意義のある新しい価値を創造することです。この授業では、社会が求める課題を「医療」・「環境」・「農業」の三分野に代表し、イノベーション促進の背景にあるビックデータと情報技術の発展によって、これらの課題がどのように解決され得るのかについて考察することを目標としています。
秋学期は授業開始時こそオンラインでしたが、ほとんどの授業を対面で実施することが可能となり、春学期に保留していたプログラミング実習(AIによる画像識別等)のカリキュラムを無事消化することが出来ました。また、秋学期からの取組として、各グループのテーマに対してマインドマップによる情報整理を取り入れています。学生からのアンケートを見る限り、評判は概ね上々だったようです。この授業の特徴の一つして、授業では各学生が必ず2つのテーマに関わることにしており、授業全体で4つのテーマについてグループワークを展開しました(※プログラム参照)。
成果報告会は、コロナ禍だけでなく積雪の影響もありZoomによるオンラン上での開催となりました。当⽇は、参加学生も含め商学部 森永由紀先生、浅賀宏昭先生、外部専⾨家⽀援委員(※文末に記載)により、⾮常に濃密な質疑応答がなされました。
以下、学生からの感想の一部を抜粋します。
- 履修を始めたことに比べて論理的に思考することがスムーズになりました。スライドを作る際だけでなく、今後の生活すべてに活用できると思うので、この授業で学んだことを全力で発信していきたいです。また、春の成果報告会と比べて、抵抗感なく発表できました。春学期は初のzoomでの発表というのもありかなり緊張していたのですが今回は前回よりもスムーズに事を運べたと思います。
- 1年間を通して、商学部の通常科目だったら取り上げられない理系の内容などを学ぶことができ、また違う授業と発表会を通して色々な情報が知れて、非常に良い経験になった。
- 私はこの授業の履修を始めた頃は、自分に課されたテーマに対して答えがあると思いこんでおり、どうすれば良いスライドを作れるかと考えていました。そのため、グループの方針が決まらず、各自で調べたことを繋げて作ったスライドが完成していました。しかし、先生からご指摘を受けて、この授業は科学イノベーションであり、答えのない問題に対しての解決策を模索する授業だと気づきました。その中でも言いたいことがぶれずに、様々なことを説明していくことはとても大変でしたが良い経験になりました。このことが達成できたのが、今回の秋の成果報告会でした。発表する際の手際もスムーズになり、春の成果報告会と比べてより大学生らしい発表になったと思いました。
- 履修を始めたころと比べて、もともと自分が興味のあったAIに関する知識を多く得ることができた。また、エネルギー問題、食糧問題の現状と今後のことといった、普段の授業ではあまり不可彫りすることのない内容を学べた点が成長した点だと思う。
- 始めは、右も左も分からずスライドを作ることや皆に追いつくことで精一杯だったが、秋学期はリーダーとなる変化もあり、取り組み方は春学期で学んだので、始めの頃よりも落ち着いて工夫しながら考えて行動できた。成長した点は、リーダーになったことで責任感が身についたことである。春学期はリーダーを支えるサポート的な役割だったが、秋学期は自分が主体となって活動しなければ、発表まではいけないと感じていたので、ミーティングの際は、自分がリードする形で行った。また、マインドマップなどできちんと理解して用語の関連性を意識して取り組めることができた。
- 「特別テーマ実践科目A・B」を履修していなかったら、エネルギー問題や食糧問題などに関して詳しく知ることは、恐らくなかっただろう。そう考えると、この授業は今後の世界・日本が抱える問題を知ることができる貴重な機会であったと思う。
- 今回の成果報告会では、春学期の自分より良い発表ができたと感じました。春学期に1度一連の流れを経験したため、秋学期ではある程度要領が分かっていたことが大きかったと思います。春学期はディスカッションに慣れておらず方向性を考えるのも時間が掛かってしまいましたが、秋学期では内容のあるディスカッションができたことで発表内容を充実させられたと感じています。ただ、両学期の報告会で事前準備が甘く発表の際にミスをしてしまったことが反省点です。また、今回の成果報告会での「大災害時代の復興未来学」の方々の発表はわかりやすい良い発表が多く、発表の構成やレイアウトなどが見ていてとても参考になりました。外部専門家の方々の意見もとても勉強になり、全体的に学べることが多かったと思いました。
今年度秋学期は、完全とは言えないまでも通常の授業運営に近い形をとることが可能となり、予定していたカリキュラムの一部を取り戻すことが出来た一方、テーマへの理解やグループワークの在り方といった基本的な部分で苦戦があったように思います。学生の感想を見る限り、学生なりの課題設定と取組に対する反省点があり、今後の大学や社会での活動において活かして行ってほしいと思います。この授業が、学生たちの継続的な学びのきっかけとなり、これからの社会問題を考察する一助となれば幸いに思います。
最後に、お忙しい中本成果報告会にご参加頂いた外部専⾨家⽀援員の⽅々、本学商学部 森永由紀先生、浅賀宏昭先生、及び本報告会開催にご協⼒頂いた商学部事務室の⽅々に深く御礼申し上げます。ご協⼒有難うございました。
2021年度特別テーマ実践科目B成果報告会プログラム
月曜3時限「大災害時代の復興未来学」
月曜4時限「社会が求める科学技術イノベーション」
担当教員:商学部 洞口 拓磨
日時:2022年1月7日(金)12:00開始
場所:Zoomによるオンライン開催
プログラム
12:00 授業紹介・外部専門家支援委員紹介 明治大学商学部 特任准教授 洞口拓磨
「社会が求める科学技術イノベーション」発表開始(発表+質疑応答:20分)
12:05「宇宙環境問題~小惑星と太陽フレア~」 商学部1年生:1名・2年生:2名
12:25「世界の水問題と浄水技術」 商学部1年生:1名・2年生:2名
12:45「食糧問題へのアプローチ」 商学部2年生:4名
13:05「AIとセキュリティー問題」 商学部1年生:1名・2年生:1名
13:25休憩(10分)
「大災害時代の復興未来学」発表開始(発表+質疑応答:20分)
13:35「非常時のコミュニケーションと福島の復興」 商学部1年生:1名・2年生:2名
13:55「福島第一原子力発電所事故と放射性廃棄物処理の現状」 商学部1年生:1名・2年生:2名
14:15「発電・送電・蓄電から考えるエネルギー問題」 商学部1年生:1名・2年生:1名
14:35「火山噴火と地震」 商学部1年生:1名・2年生:2名
14:55「気象変動に対峙する~迫りくる地球環境の危機~」 商学部1年生:1名・2年生:1名
15:15「海面上昇が及ぼす影響」 商学部1年生:1名・2年生:2名
15:35休憩(10分)
15:45 ディスカッション
17:00 総括・外部専門家支援委員より
17:20 写真撮影
17:25 解散
外部専⾨家⽀援委員
吉澤⼀⺒ 様 (東京理科⼤学薬学部疾患薬理学研究室 准教授)
水野統文 様 (聖路加国際病院放射線治療品質管理室 室長)