授業

2022.02.24

シンガポール国立大学×明治大学商学部のファッション・ビジネス の共同研究プログラム

西 剛広(担当教員)

 2021年12月6日から12月11日までシンガポール国立大学社会学部日本研究学科(担当:ヘンドリック・マイヤーオーレ准教授)と商学部 西演習室で両大学の学生がサスティナブル・ファッションを共同で学ぶ研修を行った。サスティナブル・ファッションとは環境や社会を考慮したファッションであり、学生は経済的価値と社会的価値を両立させるファッション・ビジネスのあり方を探求した。株式会社ジュン取締役 嘉野敬介氏、パタゴニア元エグゼクティブダイレクター藤倉克己氏、オンワード樫山 環境経営推進室環境経営推進部環境経営課長 山本卓司氏、桜美林大学准教授 馬塲正美氏、カナダ・ビクトリア大学准教授 ヘザーランソン氏による講義ならびに、ワークショップを開催し、実践的な研修を実施することができた。

12月7日_馬塲先生ご講演  

 桜美林大学 馬塲正美 先生に"A Study of Sustainable Fashion & Current status and issues of Fashion Business"のテーマにてご講演頂いた。まず、講義に先立ち、日中にシンガポール国立大学ならびに、明治大学学生がシンガポールと東京でそれぞれ行ったサスティナブル・ファッションに関するフィールドワークの成果報告が馬塲先生に対して行われた。馬塲先生より、報告の内容に関する質問や研究に対するアドバイスを行って頂いた。
 講義では馬塲先生には、サスティナブル・ファッションに関するトピックをご紹介頂いた上で、サスティナブル・ファッションの取り組みの実際を環境や社会(労働条件)の観点から丁寧にご説明頂いた。さらに、ファッションビジネス・マーケティングのビジネスモデルやカスタマージャーニーなど多岐に渡りお話しをいただき、シンガポール国立大学と明治大学商学部の学生は講義内容に高い関心を示していた。また、講義では、学生との活発な質疑応答が行われ、盛況のうちに、講義は終了した。

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12月8日、10日 株式会社ジュン取締役執行役員 嘉野敬介様によるワークショップ

 株式会社ジュン取締役 嘉野敬介様に12月8日ならびに、12月10日の2回に渡り、ワークショップを開催して頂いた。12月8日に嘉野様にご講演を頂き、株式会社ジュンのSDGs推進活動におけるステートメントである"GO CLEAN GO FUTRUE"のコンセプトを中心に、リサイクル素材を用いた商品開発・製造における環境負荷低減への取り組みや森林保護などの環境保護活動についてご説明頂いた。その上で、「消費者に企業のSDGsの取り組みを消費者、とりわけZ世代を中心とした若者への効果的な伝達方法を考える」という課題を学生に対してご提示頂いた。
 学生は熱心にこの課題に取り組み、12月10日学生の課題に対する成果報告会が開催された。学生はインスタグラムを用いたSNSマーケティングなど様々な角度から効果的な伝達ならびに、情報共有のための方策について報告を行い、興味深い内容であった。最後に嘉野様よりご講評をいただき、学生との間で活発な議論が行われ、盛況のうちにワークショップは終了した。

12月9日 オンワード樫山 山本卓司様ご講演  

 12月9日にオンワード樫山 営業戦略グループ環境経営推進 Div. 山本卓司様に「環境・社会問題の情勢・アパレル産業についてとオンワードの取り組みについて」というテーマでご講演をいただいた。山本様はサスティナブル・ファッションの概要とオンワード樫山の環境、社会、企業統治を考慮した取り組みについて述べられた。とりわけ、オンワード・リユースパークという商品のリユース、リサイクル による再販売の循環型ビジネスモデルやオンワード樫山の森林保全活動を中心としたフィランソロピー活動をお伝えいただき、大変興味深い内容であった。最後に学生に対して「企業のサスティナブル活動の取り組みをZ世代へPRする効果的な手法とは?」という課題をお出しいただき、講演後に学生はこの課題に熱心に取り組んでいた。学生との質疑応答も活発に行われ、盛況のうちに終了した。

12月10日 カナダ・ビクトリア大学 ヘザーランソン准教授による講義  

 カナダ・ビクトリア大学 ヘザーランソン准教授により"Introduction to Design Thinking-Moving Beyond the Service Blueprint"のテーマにてご講義して頂いた。サスティナブル・ファッショをデザイン・シンキングの観点からご説明頂いた。デザイン・シンキングのプロセスを構成するEmpathize(共感)、Define(定義)、Ideate(想像)、Prototype(プロトタイプ:試作づくり)、Test(テスト・マーケティング)にもとづき、サスティナブルを実現するためのマーケティングのあり方を学生は学ぶことができた。顧客との価値共創において、サスティナブルをファッション・マーケティングの中心に据えるための方策への重要な示唆を与えて頂いた。学生とヘザー先生との活発な質疑応答や議論がなされ、意義のある講義を学生は受講することができた。

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 最後に、ご協力、ご講演頂いた株式会社ジュン取締役 嘉野敬介氏、パタゴニア元エグゼクティブダイレクター藤倉克己氏、オンワード樫山 環境経営推進室環境経営推進部環境経営課長 山本卓司氏、桜美林大学准教授 馬塲正美氏、カナダ・ビクトリア大学准教授 ヘザーランソン氏 ならびに、関係者の皆様方に心から感謝を申し上げます。

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