授業

2024.07.17

授業中にシモキタヘ!? ~特別テーマ実践科目A~

商学部3年 近藤 源斗〔商学部の現場〕編集記者

こんにちは。
商学部3年〔商学部の現場〕学生記者の近藤源斗です。

大学生といえば、自分の好きな服を着て学校に行き、帰りに友達と街に出かけて遊びに行く。そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?

今回インタビューしたのは、明治大学商学部で特別テーマ実践科目を開講している高野公三子先生。高野先生は、株式会社パルコが運営するwebメディア「ACROSS」のシニアエディターでもあります。

そんな先生の授業では、「定点観測」というフィールドリサーチを行っており、なんと授業中に下北沢へ行くことができます! 「定点観測」とは何なのか、授業とファッションの話も併せて高野先生に訊いてみました。

 

「定点観測」ってなんだ!?

(近藤)僕自身、「定点観測」という言葉を初めて聞きましが、具体的には何をしているのでしょうか?

関心を持ってくださりありがとうございます。ここでいう「定点観測」とは、民俗学者である今和次郎の「考現学」という学問がもとになっていて、実際に街に出て、路上で人々を観察し、写真を撮影したり、インタビューをしたりするフィールドリサーチの一種です。事前にプレサーベイといって観察するテーマを探すために街をぶらぶら。前日スタッフで協議して決定したテーマに沿ってリサーチを行っています。

(近藤)なるほど、テーマを決めてから実際に行うのですね。

はい。テーマを決めないと単に好みの人や、服装が個性的な人に目を奪われがちです。そうならないよう、第三者的な視点で、街に浮上する新しいファッションやスタイル、アイテム、色などの小さな流行における現象をピックアップして決めています。具体的には、そのテーマに該当するものを着用していた人をスナップしたり、声をかけて、ものすごく詳しいインタビューをしたりしています。

(近藤)マーケティング的にはスクリーニングをアイテムやスタイルで行っている感じですね。

(筆者註:高校生の皆さんはスクリーニングは情報の取捨選択のようなものだと考えてみてください)

*高野先生が定点観測を行っているWEBメディアは下記から見るとができます
https://www.web-across.com/

授業では理論と実践で

(近藤)「定点観測」について少しわかった気がします、では授業はどのように行われているのですか?

授業の前半で理論を学び、後半はグループに分かれて実践ということで、下北沢で積極的にフィールドリサーチを行っています。(2024年6月時点)。
今は情報量が多いので、下北沢にはこういう人が多いのだろうという勝手なイメージに支配されがちですが、でも実際に行ってみると「あれ?」と違っていることが少なくありません。また、インタビューをしてみると、新しい文脈の発見などもあり、五感や身体を使ってまちや人、ものなど、その場の雰囲気を観察し、自らの意思で情報を理解し、言語化できるようになるのが本授業の目標でもあります。

(近藤)そうなると、理論で決めたテーマと結論が違う学生も出てきそうですね。

はい。でも、最初のテーマから調査を経て変わっても構わないんですよ。そのことがわかることも立派な考察結果です。特にファッションという「気分」と大きく関わるものをリサーチするときには、リサーチを行う側がガチで仮説を決めないほうがいいと思います。何を観察できるか、インタビューから何が発見できるかが重要。そこが定性的な調査の魅力でもあります。

(筆者註:定性的な調査とは数や量ではなくものの性質をみる調査だと考えてみてください)

(近藤)授業では、なぜグループ活動を取り入れているのでしょうか?

3、4年生の授業では個人でリサーチテーマを設けたこともありますが、1、2年生の授業ではあえてグループ活動にしています。それは、いろんな視点を取り入れて欲しいからです。自分視点だけでなく、話し合ってテーマを決め、インタビューもグループで行うことで、学生自身が視点を広げることが最初のフィールドワークとしてはいいのかなと。

(近藤)たしかに視点を広げるのは重要ですよね。授業では学生にどのような力をつけてほしいですか?

多くの人が言っていることやメディアのような二次情報を私たちは日々大量に触れているけど、それは誰がどのようにリサーチしたものなのか、情報を疑うこと、自分の目で見て考え、分析できる体質になって欲しいですね。まずは、気になったら現地に行ってみる!行かないと分からないこともたくさんあります。

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(実際の授業写真)

商学部でやるからこそ

(近藤)これまでのお話を聞くと「定点観測」はマーケティングの要素もあると感じました。

はい。「定点観測」は社会学的な研究アプローチでもあるけど、マーケティングリサーチの方法論でもあるんです。マーケティングにおいて重要なことの中には、「少し先の未来」というのがあります。それは、私たちの日常のふるまいなど、社会や文化、生活をマーケティングの芽として収集・言語化して分析することから見えてくることもあるんですよ。

(近藤)なるほど実際に会社に活用されていたりするのでしょうか?

はい。路上まちを行き交う人びとを観察するという調査手法は、パルコだけでなく、実はいろいろな企業が活用しています。たとえば、新店出店時やリニューアル時、また商品開発など、ターゲットに合わせて多様なスタイルのリサーチが行われいます。大事なのは、そういった「目的的」なリサーチだけでなく毎月路上に出て、観察したりインタビューをしたりなど、一定の時間持つことかもしれません。

明大生のファッションの特徴と受験生に向けて

(近藤)高野先生から見て、和泉キャンパスに通う明大生はどんな服装が多いでしょうか?

まず、男子が多い。今年の春は、うすいグレーのフーディを着ている人がたくさんいて、アメリカのカレッジスタイルがキャンパスっぽいと感じました。GWを過ぎた辺りからは、ややブロークンなデニムを履くネオ・グランジなスタイルも増えていますね。パソコンとか荷物が多い人はリュックサック(バックパック)ですが、女子は人気ブランドのトートバックを持っている学生が多いですね。アイテムとしては、スニーカーやデニムパンツが多く全体的にカジュアルかな。
(筆者註:ブロークンデニムとは部分的に破れていたり、ほつれたりしているデニムとイメージしてください)

(近藤)確かに男女問わず、カジュアルアイテムの着用率が多い気もします。
では、最後に受験生に向けてファッションの魅力や楽しみ方についてひとことお願いします

ファッションは自由。「型」にとらわれず、「明大生ファッション」は入学するあなたがつくっていってください。

明大生のファッションは、確かにカジュアルな服装が多いが、春はカーディガン・夏はTシャツ・秋はフーディ・冬はブルゾンやスウェットのように季節感があるアイテムを着ているようにも思います! これから入学する方や明大生は、ぜひ服屋に行ってみて試着もどんどんしてください!

「ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録」授業で使われている教科書になります。
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