2024.07.25
ゲストスピーカーによる特別授業実施報告:上林功氏【テーマ:スポーツファシリティとまちづくり 】
澤井和彦(担当教員)
1.実施日
2024年7月5日(金)17:10~18:50
2.実施場所
リバティタワー1105教室
3.科目名
総合学際演習
4.ゲストスピーカー
上林功氏(肩書:追手門学院大学・准教授)
5.実施内容
追手門学院大学准教授でスポーツファシリティ研究所代表の上林功先生に、スタジアムやアリーナなどのスポーツファシリティとまちづくりの関係について講演いただいた。
Ø スタジアム・アリーナと遊環構造
上林先生の師匠である建築家の仙田満氏は、公園の遊具の構造から子どもに人気のある遊具は、例えば滑り台であれば、階段を登る→見晴らす→滑る→階段まで戻る・走る→階段を登る・・といった複数の動作が連続的につながった「遊環構造」をしていること、その動作の中にカイヨワ的な意味での「めまい」を起こす動作が含まれていることを見出し、建築に取り入れているという。例えばマツダスタジアムのコンコースはスタジアムをぐるりと1周回れるようになっている。
Ø スポーツファシリティによる共創~まちづくりの模索~
第3期スポーツ基本計画では、「スポーツの価値を高めるための新たな3つの視点」として「スポーツをつくる」「スポーツでつながる」「スポーツに誰もがアクセスできる」というコンセプトが掲げられており、上林先生は住民や学校の生徒・学生と一緒にスポーツファシリティの設計を考え、提案するワークショップを開催しているという。
Ø 拡大するスポーツファシリティ~まちづくりの課題~
現代では都市におけるスポーツファシリティの存在感が大きくなっている。スタジアムが都市の一部にとどまらず、巨大な屋根のような構造物によってスタジアムが都市の一部を覆いつくすようなデザインが考えられてきており、アメリカなどでは実際に具現化している。このスタジアムの「過剰」をわれわれはどう考えればよいのかは今後の課題である。
Ø スポーツファシリティの逐次性~まちづくくりの展望~
Ø 「営み」としてのスポーツとまちづくり
スポーツファシリティが街を変える、のではなく、ファシリティが街とともに成長する、街の発展とともに変化する「逐次性」が重要なのではないか。例えば道路につくられた陸上トラックなどのインスタントなスポーツファシリティ、校庭に水を撒いて凍らせたスケートリンクのようなヴァナキュラーなファシリティ、区画に合わせて歪んだ野球場、パセオで行われるスポーツイベントなど。そうした「営み」としてのスポーツとその「営み」に合わせたスポーツファシリティを、われわれは考えていく必要がある。
「過渡的状態。スタジアムを過渡的なものと捉えよう」ル・コルヴィジュ「輝く都市」より