授業

2024.08.01

特別テーマ実践科目C「データで読み解く良い企業」の現場

前田 陽(担当教員)

2024年度春学期、株式会社東洋経済新報社の寄付講座として特別テーマ実践科目C「データで読み解く良い企業」が開講された。本年度の履修希望者は16名であった。本授業の目的は就職活動など企業に向き合う際、履修者が賢明に判断できるように、「企業の見方」の理解を深めることである。データを使って企業を読み解く知識は在学中のみならず、卒業後にも重宝される。本授業はそれを効果的に修得できるよう、企業情報に特化し、『週刊東洋経済』や『会社四季報』等の経済誌を出版する東洋経済新報社デジタルメディア局教育事業推進部より西村雄吉氏、田宮寛之氏、林政孝氏、茅根恭子氏はじめ同社の方々が講師となって展開している。

 実施5年目の本年度の授業も、講師による「講義」と与えられたテーマに係る3回の「グループワーク(1グループ3~4人で構成される)」を基本に進められた。

 5月13日に「業界地図」、6月17日に「企業比較」、7月15日に「SDGs」をテーマとしたグループワークの成果報告会を実施した。「業界地図」ワークと「SDGs」ワークはPowerPointを利用して教卓でプレゼンテーションを行う形式、「企業比較」ワークは報告内容を動画として撮影し、そのコンテンツを報告会で上映する形式であった。いずれの成果報告会でも講師陣が、専門家として辛口ながらも報告した履修者に寄り添った暖かいフィードバックを行った。

 「企業比較」ワークは、通常のプレゼンテーション形式とは異なり、動画を作成して報告する形式である。この形式は多くの履修者にとって初めてで、戸惑いを見せたグループもあった。しかし西村氏はじめ講師陣から丁寧な動画作成法の教授があり、どの班もきちんと1つの報告コンテンツに仕上げてきた。最後の「SDGs」ワークでは、溢れる熱意ゆえに、多くのPowerPointのスライドを用意してしまい、既定の報告時間内に収まらない班もあった。どのワークにも言えるが、個々が主体的に関わることはもちろん、他のメンバーと積極的にコミュニケーションを取り協力し合って取り組まなければ、グループとして高い成果は望めない。本年度は最初の「業界地図」ワークから履修者間の意思疎通は円滑であったように見受けられた。ただ、最後の「SDGs」ワーク後のアンケート結果では、自らの班のワークの成果に満足し切れていない履修者も一部にいた。これは彼ら/彼女らがより高いレベルに目標を設定していたからだと言える。現在においては、単に目前の壁を突破したからといって安穏とはしていられず、さらに高い壁の突破に向かって邁進し続けていかねばならない。そういった意味で、本授業では次々と難度の高い壁が設定され、そうした壁を乗り越えるうちに、自身が自らに課す要求水準が高まっていたからこそ、そのような感想が出てきたのであろうと推察される。皆が高い意欲を持って取り組み、それを乗り越える経験を獲得し、さらにより高い困難に向かって積極果敢に取り組もうとする良好な循環が醸成されたと考えられるのである。

 本授業の実施に当たり、東洋経済新報社より西村氏、田宮氏、林氏、茅根氏以外にも、青地俊亮氏(『就職四季報』編集長)、村山颯志郎氏(『CSR企業総覧』編集長)、片岡美佐子氏(ビジネスプロモーション局)、駒井佐和子氏(デジタルメディア局)等、多くの社員の皆様からも協力を頂戴した。専門家の視点からご教示をいただいたり、各成果報告に対し的確なコメントや助言を頂戴したり、履修者からの素朴な質問にも親身になって回答をいただいたりした。こうした優れた見識を持つ専門家から様々な角度からの豊富なフィードバックを得られたことも、本授業の大きな特長であった。

 学生時代に取り組むべき対象がコロナ期よりも増大したためか、アフターコロナの2024年度の履修者数は伸び悩み、授業担当者として歯がゆく感じられることもあった。だがその一方で過年度の履修者より、本年度の就職活動が順調に進んで総合商社やコンサルティング会社等から内定を得たといった嬉しい知らせを受けることもあった。もちろん本人の努力や資質等がその土台にあることは十分理解しているが、こうした例は本授業を通じて就職活動に対する意識やそれに係る知識が養成された証左と言えるのではないか。本授業では正確な情報を入手する方法や、どのような目的意識から報告内容を形作るべきか等を、優れた講師陣から手厚く指導していただける。そうした教育成果が、履修者一人一人の中に身に付いていったのだと確信できるのである。

 こうした満足度の高い授業を行うことができたのも、本学図書館に導入されている「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー(DCL)を活用でき、さらに講師陣から適切な利用法の教授があったからであろう。

 結びとなるが、本授業の実施に当たり、本年度も西村氏、田宮氏、林氏、茅根氏はじめ社員の皆様からひとかたならぬご尽力を賜るなど東洋経済新報社から多大なご協力を頂戴した。改めて同社および同社の皆様に厚く御礼を申し上げる。

以上


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西村様

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林様

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茅根様

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田宮様

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