2025.02.25
明治大学商学部特別テーマ実践科目D コンサルティング実践(戦略立案フェーズ) 最終報告会及び講義報告書
樋渡 雅幸(担当教員)
■報告概略
2024年度特別テーマ実践科目D「コンサルティング実践(戦略立案フェーズ)」の、2024年12月20日及び2025年1月10日の講義について報告する。
本講義では、大日本印刷株式会社(以下、DNPさま)とポラス株式会社(以下、ポラスさま)の2社に「クライアント企業」としてご協力いただき、提示された「現在抱えている課題」に対する解決提案を、後期期間中に並行して行った。受講学生は2チームに分かれて、それぞれコンサルティングファームを模してチーム運営を行った。
この後期のコンサルティング実践では、前期のコンサルティング実践で学んだコンサルティングプロセスにおける基礎的フレームワーク・プレゼンテーションスキル等を、実際の企業が持つ問題(テーマ)に対して提案活動をする中でアウトプットすることを主な目的としている。
以下に、各最終報告日ごとの概要と結果をまとめる。
- 2024年12月20日_DNPさま
いただいたテーマは「渋谷でDNPが運営している東京アニメセンターへの誘客ができる新しいエンタメ体験とは何か」というものであった。
・1チーム目(MVCチーム)
直近で渋谷の訪日外国人が増加している一方で、アニメセンターへの誘客ができていない、ということを解決すべき課題として設定し、外国人観光客のニーズは「日本らしい『アニメが関連することがわかる写真』を撮ること」として、「アニメセンターでの企画と連動するプロコスプレイヤーと写真が撮れるフォトゾーンの設置」を提案した。コスプレイヤーが渋谷の街中でプロモーションをするなど、簡易的な施策の効果予測も含めてのプレゼンテーションであった。
・2チーム目(BIBチーム)
アニメセンターの集客は、企画のテーマとなるアニメの認知度や人気の影響が大きく、比較的マイナーなアニメ企画の際の誘客が課題であるとした。そこでマイナーアニメのコアなファンが、本来ならアニメセンターには来場しなかったはずのライトなファンへの「推奨行動」を促進ことにより一緒に来場してもらう、という方向性を提示し提案を行った。具体的には往年のアニメを扱い仮想現実(VR)のコンテンツを提供し、親から子に対する推奨行動を利用した同時誘客を提案した。
- 2025年1月10日_ポラスさま
いただいたテーマはポラスさまの実際の分譲住宅を選択した上で、「埼玉を中心とするポラスグループの商圏外の人に対するプロモーション戦略を企画提案してほしい」というものであった。
・1チーム目(MVCチーム)
子育て環境が充実している埼玉県東鷲宮の分譲住宅を商圏外の方にプロモーションすることを提案した。子育て環境が充実しているにもかかわらず、「東鷲宮」の魅力が十分に認知されていない、という点をを課題として設定し、公共交通機関を利用して子どもを連れて住宅内見をすることに苦労を感じている、という子育て世帯の不満に着目した「街探しバスツアー」のプロモーション案を提案した。
・2チーム目(BIBチーム)
商圏内におけるポラスさまは情緒的価値が十分に認知されている一方、商圏外では認知がされていないため最寄り駅の利便性や駅からの距離等のポラスさまではコントロールできない機能的価値で他社と比較されてしまっている、ということを課題として設定した。そのためあえて分譲住宅の選択はせず、情緒的価値を訴求することができる新たなPRチャネルの提案を行った。具体的には「リモートワークの導入によって商圏内に転居意向がある30代夫婦の父親」をターゲットとし、リモートワークを推進している企業に対して「郊外でリモートワークを行う際の環境(空間)づくりの研修」を新たなPRチャネルとして提供することを提案した。
本講義では、クライアント企業との取り組みを通じて得られる「気付き」を重視している。座学や学生同士の議論に加え、企業への提案や質疑応答を通じてリアルなビジネス環境を体験し、その経験を内省することで自己成長につなげることが狙いである。この「気付き」は講義の枠に留まらず、卒業後のキャリアにも活かされることを期待する。受講した学生が、今回の経験を糧に社会でより早く活躍できるよう願っている。
■参考写真1(DNPさま最終報告会)
■参考写真2(ポラスさま最終報告会)
■参考URL
- 大日本印刷株式会社:https://www.dnp.co.jp/index.html
- 東京アニメセンター:https://tokyoanimecenter.jp/
- ポラスグループ:https://www.polus.co.jp/
以上