2023.01.26
地球の反対側の人々とSDGsを考える ~PUENTE(プエンテ)「下巻」の編集制作
所 康弘(担当教員)
2022年度、明治大学商学部の所康弘演習室では、日本における「持続可能な開発のための目標(SDGs:Sustainable Development Goals) アジェンダ2030」の取り組みについて、複数のテーマを取り上げて、研究を進めました。本冊子は、各テーマの研究過程とその成果の概要をまとめたものです。 冊子名の「PUENTE(プエンテ)」は、スペイン語の単語です。日本語では「かけ橋(KAKEHASHI)」という意味です。若者・学生の目線で、SDGsの様々なテーマに関する研究を進め、それを日本のみならず、ラテンアメリカ・カリブ諸国の人々に発信することを目的にしています。 今年度、私たちは6つのグループに分かれて、研究をすすめました。それぞれの問題意識のもと、SDGsの17の開発目標の中から項目を選び、それに沿ってテーマを絞り込み、論点を掘り下げていきました。各グループの具体的なテーマは次の通りです。
なお、「下巻」はグループ4~グループ6までを収録しました。
- グループ1 日本の持続可能な水産業と陸上養殖(目標14.海の豊かさを守ろう)
- グループ2 児童労働を中心としたカカオ産業が抱える問題(目標1.貧困をなくそう)
- グループ3 規格外野菜のロス削減(目標12.つくる責任 つかう責任)
(以上、上巻)
- グループ4 多文化共生社会の現状と課題:大泉町日系ブラジル人の第二世代の教育環境から考える(目標4. 質の高い教育をみんなに)
- グループ5 観光を通して環境問題や社会問題を「知る」(目標11.住み続けられるまちづくりを)
- グループ6 異文化理解教育の国際比較 ~日本・韓国・メキシコ~(目標4.質の高い教育をみんなに)
(以上、下巻)
グループ4では、群馬県大泉町にある日伯学園学園長の高野祥子様にご協力いただき、インタビュー調査をさせていただきました。日伯学園は有限会社大泉日伯センターが運営する、ブラジル政府より許可を受けた日系ブラジル人向けの学校です。日系ブラジル人への託児保育教育を行ったり、日本語教室を開講したりしています。高野様には教育現場に関する重要なお話や知見を聞かせていただき、感謝申し上げます。
グループ6では、メキシコ在住日系人(日系二世)やメキシコ人語学教師(私立学校勤務)の方々に、長時間に渡るオンライン対話・ディスカッションに応じていただきました。また、明治大学に留学中の韓国人留学生たちにもインタビュー取材に応じていただきました。誠にありがとうございました。 ご存じの通り、国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の内容は、貧困、食料・栄養、保健・公衆衛生、教育、ジェンダー、水、エネルギー、労働、産業、不平等・格差、都市問題、環境・気候変動など、多岐に渡っています。SDGsが掲げるこれらの目標は、一見すると、ラテンアメリカ・カリブ海諸国を含むグローバル・サウス(Global South)において、より早急に改善されたり、対策をとられたりするべきものとして考えられがちですが、これらの問題はグローバル・ノース(Global North)と相互に関連した複雑、かつ緊急な世界的課題であり、グローバル経済の時代を生きる人類共通の課題です。 このささやかな小冊子が、太平洋を越えて、遠く地球の反対側の人々とともに、グローバルな諸課題をともに考え、ともに行動するための一助になることを期待します。