2024.03.26
浅賀ゼミ活動報告 ―生田キャンパスで農業と植物工場に関する見学会―
浅賀 宏昭(科目担当教員)
総合学際演習室の浅賀ゼミは、春休みに生田キャンパスにて農業と植物工場に関する学びの機会を得ることができた。総合大学の長所を活かした学際的で有効な見学会となったので、以下にまとめて報告する。
経済産業省の先進的植物工場施設整備費補助事業によって建設された明治大学植物工場基盤技術研究センターが生田キャンパスにある。コンセプトの一つは農商工連携で、センター長を農学部の池田 敬教授が務め、センター員と運営委員には商学部からも鳥居 高教授と浅賀 宏昭が参画している。この縁で浅賀ゼミは、農学部の池田研究室と共に学際的な学びの機会を創ってきた。
例えば昨年(2023年)は和泉キャンパスでの合同ゼミを開催し、浅賀ゼミの学生が研究発表を行ない、池田先生はじめ池田研究室の皆さんから質問や有益なコメントを多数いただいた。それらを参考にして、浅賀ゼミの3年生が研究チームを組んで研究内容を発展させ、2023年度連合駿台会共催学生対抗プレゼンテーション大会において「アクアポニクスによる世界の食糧難の解決」のテーマで発表したところ優秀賞をいただいた。これはまさに共創による成果の一つである。
今年(2024年)は3月5日午後に池田教授のお取り計らいで、浅賀ゼミの学生をお招きくださった。生田の中央校舎の教室に集まり、まず浅賀ゼミと池田研究室の学生の自己紹介を相互に行なった。その際、沖縄の農業者から贈られたという貴重なスイカを分けてくださった。池田先生が研究されている方法で水耕栽培したもので、3月のスイカは初めてだったがとても甘かった(写真左)。
リラックスしたところで、学びのプログラムを開始した。まず池田先生が農業と植物工場の解説をされた。日本の農業の問題点から、植物工場の研究には多様な視点からのアプローチが必要なことなどである。研究センターで協同研究されている企業の植物工場に関するCM(ダイワマンSEASON 2 Episode 6「決して諦めない」篇)の紹介もしてくださったので、農学部と商学部のそれぞれが取り組むべき課題などの硬い話題も興味深く聴けたようであった。
次にタイから池田教授のところに研究をしに来られているサティッマンナイタム先生(研究知財特任講師)が、タイの農業について流暢な日本語で話された。タイでは国土の4割が農地でそのうちの半分が米を栽培しているという。乾季があるので農業には困っていたが、灌漑システムの導入によって、米の収量が雨期と同程度に上がったという話が印象に強く残った。
- 左:水耕栽培による沖縄産のスイカ,中:池田研究室で研究されている紫色パプリカ,右:紫色パプリカの断面(内側は緑色であることに注意)(いずれも学生撮影)
その後、研究センターに移動し、池田研究室の学生から植物工場の研究について説明をいただいた。専門的技術のことを商学部生がどれだけ理解できたかは不明だが、百聞は一見に如かずの言葉通り、施設を目の当たりにしたインパクトは大きかったようである。研究用の温室にも移動し、本学のスクールカラーでもある紫色パプリカの研究についての話も聴いた(写真中および右)。紫はナスニンというアントシアニンの一種で未熟な苦みのあるときの色であり、熟す頃には消失して赤色になるという。ナスニンの分解を抑制する試みなどをして、紫色を熟すころまで長持ちさせることがテーマの一つということであった。
なお、この日はあいにくの雨模様で移動時に少し濡れたものの冷たさを感じなかった。それは両学部の学生の熱気のおかげであったのかも知れないと思っている。
最後に、このような学びの機会を提供してくださった農学部の池田 敬教授、サティッマンナイタム特任講師ならびに池田研究室の学生の皆さまに深謝申し上げます。