2020.12.16
【OBOG 企画】 社会起業家、渡邊智恵子さんにインタビュー vol.2
商学部2年 西村 憧子、3年 安藤 凛 〔商学部の現場〕編集部記者
こんにちは。明治大学〔商学部の現場〕学生記者の 西村と安藤です。今回はvol.1に引き続き商学部の卒業生であり、社会起業家として活躍されている渡邊智恵子さんのインタビュー記事をお届けしたいと思います。第2回目となるこの記事では、主に「渡邊さんの掲げる理念とビジネス」について語っていただきました。
渡邊さんが行われている社会貢献とは?
渡邊さんが現在手掛けられているオリジナルブランド「プリスティン」では、子ども服や婦人服などの生地がオーガニックコットンで作られています。一般的にオーガニックコットンは化学農薬を一切使わずに栽培がおこなわれるため、環境に優しいとされています。しかしその一方で、化学農薬を使わない分、人手や手間がよりかかってしまうため商品化されるとどうしても値段が高めになってしまうという欠点を持っています。
しかし、渡邊さんは社会をより良くしたいという理念とビジネスとの両立のなかで、30年以上も「プリスティン」の運営会社、株式会社アバンティの事業を続けられています。そこで、今回は渡邊さんが考える理念とビジネスをどう両立させているのか、その秘訣をお聞きしてきました。
貧すれば鈍する
記者(西村):著書「女だから、できたこと」のなかで渡邊さんは挑戦癖があると書かれていたのですが、安定したところを抜けて挑挑戦されるその気持ちをずっと持ち続けられるのはなぜでしょうか?渡邊さん:健康だから。すっごい元気!。元気だからこそ、この元気を自分のためだけに使っちゃいけないっていつも思っているし、祖母には「いつもおてんとさまが見ているよ」って言われていたから。自分一人だけで楽しんでいては、おてんとさまに怒られてしまうと思わない?だから、利益や徳っていうのはやっぱり分け与えないといけないと思っています。
記者(安藤):それは渡辺さんが現在行われている社会貢献活動にもつながっているのでしょうか?
渡邊さん:そうです。私はいいんですよ、こんなに元気だからこれで十分じゃないですか。この元気って、奇跡なんです。その奇跡を。自分のためだけに使っちゃだめ。死ぬときは、棺桶に何ももっていけないわけじゃない。
記者(西村):なるほど…
渡邊さん:私が運営しているアバンティという会社の運動は種なの。タンポポの綿毛のように世界にその種が広がり、いろんなところで着床してくれたら、そっちのほうがすごくないですか? そのほうが意味があるじゃない。
記者(安藤): 今まで自分の中では、ビジネスって利己主義的なものという感覚があったんです。でも、今の渡邊さんのお話を聞いてその価値観が完全に覆ったというか、衝撃を受けました…。
渡邊さん:でもこれは絶対に稼がなきゃダメなの。貧すれば鈍するという言葉の通り、貧しければ人のためのことなんて考えません。稼がないとダメです(笑)。
記者(安藤):なるほど…。
渡邊さん:それと、お金はちゃんともつこと。例えば、東北で震災(東日本大震災)がありましたね。被災された人たちを何とかしたいと思っても、交通費がないと行けないでしょ。何かしたいと思っても、お金がなかったらできない…。だからお金は、絶対に大事なんです。
渡邊さん:だから、商学部ならぜったいお金を儲けなさい。
記者:はい(笑)
会社のために何ができるのかというのがプライオリティ
記者(安藤):社会貢献は、ビジネスを成り立たせたその次ということでしょうか?
渡邊さん:そうです。うちの会社に、面接で社会貢献したいんですと言ってくる就活生もいますが…。すれば?(笑)という感じですね。ここは会社で、やはり利益をちゃんともたらしてもらい、会社が継続していかないとみんなを養っていけない。それをやっていただくために、私は社員を雇います。社会貢献したいのなら、学生団体に入るなど、それは学生のうちにやってください。ここでは、会社のために何ができるのかというのがプライオリティなんです。
いかがでしたでしょうか。社会が抱える問題を解決しながら、ビジネスで儲けることができればそれが最適ですよね。それは、ほとんどの人が出来ればなお良いと考えることだと思います。しかし、一方で社会をより良くしたいという「理念」とお金を稼いで会社を存続させることという「ビジネス」を両立させることは非常に難しいことではないでしょうか。渡邊さんは、強い理念を持ちながらも会社の経営者としてビジネスを真剣にやっていくことの重要性を語ってくださいました。
次回で、渡邊智恵子さんへのインタビュー企画は最終回となります。浪人経験もある渡邊さんからの受験エピソードと、大学入学を考えている学生へメッセージをいただいてきました。