授業

2020.09.23

特別テーマ実践科目 「SDGs調理科学」で新メニューの研究開発!

浅賀宏昭(担当教員)

 この授業では、SDGsの目標でもある食料問題の解決につながることが期待される「大豆を主要材料とした新メニュー」の研究開発を行った。今学期は、履修生10名という少人数ながら、留学生3名も参加しての国際色豊かな雰囲気の授業となった。  

 感染症対策のため、実習を含めた対面授業の実施を8月まで自粛したが、そのぶん実習前のメニュー・レシピの検討が充分にできた。特に、外部専門家支援委員の塚原正俊先生(株式会社バイオジェットCEO・千葉大学非常勤講師)に、会社のある沖縄からオンラインで商品開発に関する実践的な指導を2回も受けたことが、履修生には刺激的だったようだ。その後のレシピの詳細な検討に入っても、全員が興味を失わずに継続して取り組めたことがその証左だろう。

 9月に入るまでは実習ができるかどうか不安だったが、無事に実施できたので、担当者としては胸をなでおろした。授業時間に換算すると4回分という限られた時間であったが、4班(各班2~3人)に分かれ、仮説と検証を集中的に繰り返すことができた(担当者には、フェイスシールドに周囲の人との適度な心理的距離を作り集中しやすくする効果があるためのように思われた)。もちろん仮説の検証においては、棄却、すなわち狙いが外れたことも多々あっただろうが、こうした作業を繰り返すことで、少しずつではあるが理想に近づいていくモノづくりの醍醐味を伴う経験ができたに違いない。それはバラエティ豊かな風味とともに彼ら彼女らの脳裏に焼き付き、一生忘れない宝になったと確信している。

フェイスシールドを付けての実習

 9月16日の成果報告会では、オンラインで全班がスライドを用いて報告でき、塚原先生にも沖縄から聴いていただけた。恐らくは自分たちが思いもよらない質問をいただいたので、履修生の皆さんはかなり厳しく感じたのではないかと思う。しかしその質疑応答でのやり取りでは、企業における開発経験がにじみ出ている塚原先生の蘊蓄とともに、現場の桁違いの厳しさも間接的に知ることができたはずである。

オンラインにおけるスライド発表画面(一部)

 今回報告できたメニュー(「大豆ミートを使った蒸し餃子」「油揚げのピリ辛サンチュ」「(豚肉を使わない)酢豚」「穀物クッキー」、以上は発表順)には、未完成と言えるものも確かにあった。しかし、これらは単なる思い付きで作ったものではない。科学的な検討を重ねて作り上げ、第三者の視座から評価されたメニューである。レシピの細かな修正や今後の課題まで丁寧かつ正確に記録してくれたため、一歩か二歩というわずかではあるが、しかし確実な足跡を残してくれたことがとても良かった。これで次の履修生に確実に引き継ぐことができるから、担当者としては次の授業が早くも楽しみである。

発表後の1コマ(上段左が塚原氏、上段中が浅賀)

 最後に、このユニークな授業の取り組みにご協力いただいた外部専門家支援委員の塚原正俊先生に深謝申し上げる。また、履修生の皆さんにも感謝の念をここに表すとともに、機会があれば今後も何らかの形でこの取り組みにご協力いただきたく、お願い申し上げる次第である。

MENU