授業

2024.05.23

マーケティング管理論にてパナソニックコネクト株式会社 関口昭如氏の講演

加藤 拓巳(担当教員)

2024520日に,加藤拓巳専任講師の担当するマーケティング管理論にて,パナソニックコネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部デジタルカスタマーエクスペリエンスエグゼクティブ、(兼)統括部長 関口昭如氏に,「BtoBマーケティングの実践とキャリア」をテーマに講演して頂いた。

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<講演概要>

  • 顧客価値は,「価格に見合った顧客便益があること×自社ソリューションに他社の選択肢にはない独自性があること」が要件である。価値は,主には顧客が決めるもので,企業側がそれを決めることはできない。
  • 顧客理解,商品・サービス企画,創造,プロモーション,販売,カスタマーサクセスのすべてがマーケティングの範囲となる。「プロモーション=マーケティング」ではない。よって,「現場」という単語にこだわって,それぞれのプロセスの現場での顧客経験を重視しながら活動している。
  • 戦略と戦術の大原則:戦略の誤りを戦術でカバーすることは基本的にできない。戦術を持たない戦略は「絵に描いた餅」。よって,パナソニックでは,Blueprintと呼ばれるマーケティングの設計書(戦略・戦術)を決めなければ,マーケティング活動ができない仕組みになっている。
  • BtoCと比較した,BtoBの違いは,大きく2つある。1つ目は,購入決定者とユーザーが異なる点である。つまり,1顧客が1集団である。2つ目は,感情だけで選ばれることはなく,ロジカルに価値を判断されることが特徴である。顧客の硬直性(消極顧客)も多いため,ロジカルに説得する必要がある。ただし,以前と異なり,自ら商品・サービスを学んで問い合わせが来るセルフラーニングカスタマーが増えてきたため,プロモーションが重要なBtoCと通じるところもある。
  • 現在のマーケティングには,勘ではなくデータを見る文化が不可欠なので,その素養の強化は今後も重要である。また,デジタルが浸透した現在,社会/市場/顧客にデジタルメディア上でマーケティングをすることが一般的になり,ますますデータが欠かせない。
  • N=1インタビュー」の目的は,セグメントではなくある1人の顧客と対話することによって,価格に見合う価値と独自性を仮説検証すること。定量データからは見つかりにくい顧客の本音を把握するには重要な手法である。
  • カナダ式大工は1人で全部の作業を担う。日本式大工は分業制。どちらも重要な視点なので,「行ったり来たり」しながらキャリアをつくっていくことをおすすめする。
<講師プロフィール> パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部デジタルカスタマーエクスぺリエンス統括部 統括部長 関口 昭如氏 日立に入社後、ルネサスエレクトロニクスなどのB to B製造業企業において、デジタルを中心とした、グローバルマーケティング、デマンドジェネレーションを牽引。2018年10月より、パナソニック コネクト(株)にてデジタルマーケティング、カスタマーエクスペリエンス改革を断行中。また、筑波国立大学院等の教育機関にて教鞭も執る。博士。
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