ゼミ

2025.07.15

商学部×映画 学びの幅を広げる選択

商学部4年 池田 遥菜〔商学部の現場〕編集部記者

みなさん、こんにちは。
商学部4年〔商学部の現場〕学生記者の池田です。

突然ですが、商学部ではどんなことを学ぶと思いますか? 経営や会計、マーケティング...そんなイメージを持つ人が多いかもしれません。また、映画や文学、美術などと聞くと、文学部のイメージが強いのではないでしょうか。
でも実は、明治大学商学部では「自分の好きなこと」を学問として深めることもできるのです。今回は、映画研究のゼミに所属し、作品を観るだけでなく、時代背景や演出の意図を考察しながら学びを深めている商学部4年のコウシンイさんにインタビューしました。商学部で映画を学ぶという、ちょっと意外な一面を感じてもらえると嬉しいです。

商学部のゼミについてご存じない方は、先にこちらの記事をご覧いただくと、本記事の内容がよりわかりやすくなると思います。
https://meiji-commerce.jp/2021/04/01/hp-home-httpsmeiji-commercejp.html

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コウさん(左)ゼミ生と一緒に

記者:映画研究のゼミを選んだ理由を教えてほしいです。

コウ:もともと映画が好きで、特に中学生の頃から『アベンジャーズ』などの作品をよく観ていました。ただ、進路としては経済を学びたいと思っていたので、商学部を選びました。ゼミを選ぶタイミングで、たまたま映画を扱うゼミがあることを知って、「これはちょうどいいな」と思ったんです。専門である商学を学びながら、自分の趣味である映画についても深く考えられるのが魅力でした。映画をただ楽しむだけで終わらせたくなくて、リテラシーも学べると紹介に書いてあって、それも面白そうだと思って応募しました。

記者:なるほど。趣味を突き詰められるのはいいですね。
   具体的にゼミではどんなことを研究していますか。

コウ:まず、それぞれが気になる映画を1本選んで、文献を読んだり実際に映画を観たりして、自分で調べながら研究を進めていきます。基本的には個人研究がメインで、監督の意図とか、その作品で使われている演出のテクニックを文献と照らし合わせながら自分なりに考察します。そのうえでそれを発表して、ゼミのメンバー同士で意見を交換したり、映画の見方や社会への影響についてディスカッションしたりしています。みんな違う映画をテーマにしているから、いろんな視点があって面白いです。

記者:その中で一番、興味深かった作品はありますか。

コウ:あ~、興味深かった作品でいうと、自分が研究した『トゥルーマン・ショー』っていう映画ですね。30年ぐらい前の作品なんですけど、メディア社会を風刺していて、現代にも通じるテーマがあるなと思って選びました。
主人公のトゥルーマンは、自分の生活が実は最初からテレビ番組として作られた「偽りの世界」だったことに、途中で気づくんです。生まれたときからずっとその世界で生きてきたけど、周りの人たちはその事実を知っていて、彼の生活はリアリティショーとして放送されていた、というストーリーです。
この作品を観て、今の私たちがスマホやSNSを通じて見ている世界も、ある意味「作られたもの」に囲まれているんじゃないかって感じました。フィルターバブルやエコーチェンバーの中で、自分の考えが知らないうちに偏ったり、均質化されたりしていることってあるなと思って。
現代のメディア環境から完全に離れるのは難しいけど、それでもちゃんと現実の人とのやりとりや、自分の目で見ることを大事にしたほうがいいのではないかという問いを込めて研究しました。発表のときも、ゼミのメンバーから共感の声が多くて、すごく印象に残っています。

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研究に使用した資料と発表原稿

記者:ありがとうございます。すごく面白そうな映画ですね。
   またコウさんはダブルコアもしていますよね?
   ダブルコア先ではどんなことを学んでいますか。

コウ:ダブルコア先では、M&A(合併と買収)やコーポレートファイナンスをテーマにしています。企業の事例を使ったケーススタディを通して、たとえばM&Aを実行するかどうかの判断とか、情報を開示するかしないかといった経営判断について考えています。

記者:なるほど。趣味の映画とはまた全然別のタイプの学びですね。
   2つのゼミ活動を通して、私生活やキャリア観にどんな影響がありましたか?

コウ:コーポレートファイナンスのゼミでは、M&Aで重要なのは企業の経営判断なんですけど、私がそのゼミを選んだ理由は、単に企業判断に興味があったからというよりも、将来、自分自身が何か大きな決断をしなきゃいけない場面になったときに、ちゃんと納得できる判断ができる力を身につけたいと思ったからなんです。企業の価値判断を学ぶ中で、そうした判断力が少しずつ身についてきたなと感じています。
一方で映画ゼミの方は、映画って監督自身の経験がベースになっていることが多くて、特にノンフィクション作品では、他人の人生や社会の現実を描いているんですよね。自分では体験できないような人生や価値観を、映画を通して追体験することで、自分の中に新しい視点が注がれるような気がします。
たとえば戦争映画を観て、単に歴史を知るだけじゃなくて、「じゃあ今の社会はどうあるべきか」「自分はどう生きるべきか」っていうところまで考えるようになりました。ゼミの仲間や先生と一緒にそういう問いを深める中で、教養も深まったし、人としての生き方についてもすごく学べたなと思っています。


記者:ありがとうございました。

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ディスカッションの風景

コウさんのインタビューを通して、実践的な商学の学びと、自分の関心を深める探究の両立ができるという点に、記者自身も明治大学商学部の大きな魅力を感じました。

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