2025.07.17
明治大学商学部「特別テーマ実践科目C(三浦市_基礎編)」において春学期成果報告会を開催
松尾 隆策(担当教員)
2025年7月11日(金)に、明治大学商学部「特別テーマ実践科目C(三浦市)」(担当:松尾隆策)にて、2025年度春学期の成果報告会が開催されました。本講義は、「地域観光の振興と観光商品の提案」をテーマに、神奈川県三浦市をフィールドとして、学生が地域資源の発掘や観光コンテンツの創出に取り組む実践的な授業です。春学期は、三浦市の農業・漁業・観光産業に関するデータ分析に加え、第1回の実習として「三浦道寸祭り」での参与観察、第2回の実習として三浦市を代表する観光地、三崎港の街歩き調査を実施しました。2回の実習で観光客を対象としたアンケート調査も行い、地域の課題や強みを多角的に把握しました。
5月19日(日)に実施した1回目の実習では、「道寸祭」に参加するという参与観察を行いました。調査結果から、観光客の年齢層は主に50〜60代の年齢層が多く、観光目的は「食」「歴史」「景色」が中心という結果が得られました。観光客の利用交通手段は公共交通機関の利用が多く、来訪のきっかけとしては公式ホームページや雑誌が多い一方で、SNS経由の来訪は少数という結果が得られました。
6月1日(日)に実施した2回目の実習では、三崎港街歩き調査実施しました。観光アンケートの結果より、観光客は30〜60代の幅広い年齢層が参加しており、観光目的は、前回と同様に「食」と「景色」が多く、滞在時間は3時間以上のケースが多かったものの、都内からの来訪者は少なく、来訪のきっかけとしてはSNSや友人・知人の紹介が約4割ずつを占めるという結果となりました。両調査の結果から、三浦市は若年層の来訪が少なく、観光の最終目的地として認知されにくいこと、情報発信の強化が必要であることが明らかとなりました。
これらの調査から三浦市の課題が明らかとなり、課題解決のために、学生たちは「ふるさと納税」と地域の特産品・体験を組み合わせた観光客の誘致方法を打ち出しました。具体的には、地元農産物を使った返礼品や体験プログラムの開発により、若い世代への訴求と地域活性化を図るというプロジェクトを提案しました。
この方策として、秋学期に向け、地元洋菓子店「HIBA」と新鮮な野菜をドライ野菜に加工する「くろぜむ農園」との協力のもと、健康志向かつ地域性を反映した商品開発を進める新たなプロジェクトを立ち上げたことを報告しました。なお、無農薬の完熟キウイを使った「陽だまりキウイのマドレーヌ」や「三浦にんじんとくるみのやさしいマフィン」などの商品開発を進める方針です。秋学期は両者の連携により、ドライ野菜を活用したマフィンの製造・商品化を共同で進める計画です。
本報告に対して、三崎観光(株)の柴田和義常務取締役は「学生の新鮮な視点が地域の魅力発信に貢献している」と評価し、宮川一馬氏も「理論と実践を結びつけた貴重な学びの場」と講評されました。本講義は、地域と大学の連携による実践教育の好例として、今後のさらなる発展が期待されています。
写真1:学生による報告
(スピーカー:酒井 勇之介さん)
(スピーカー:ファン サンヒョンさん)
写真3:学生による報告
(スピーカー:宋 理宇さん)