2021.02.24
特別テーマ実践科⽬B「大災害時代の復興未来学」成果報告会報告
洞口 拓磨(科目担当教員)
2021年1⽉8⽇に特別テーマ実践科⽬B「大災害時代の復興未来学」・「社会が求める科学技術イノベーション」の秋学期成果報告会を合同で開催しました。私が担当するこれらの科目を合同で開催したのは、学生ができるだけ多くのテーマに触れ、オンライン授業で少なくなりがちだったコミュニケーションの機会を最大限確保するためです。
この「大災害時代の復興未来学」は、2018・2019年度開講した「東日本大震災を学ぶ」の後継授業です。この授業では、自然災害が起こる理由を科学的に考察し、復興について考え続ける重要性を学ぶことを目標にしています。
秋学期は学生の要望に応じて対面・zoomリアルタイム配信併用のハイブリット型で授業を行いました。春学期同様Googleスライド等のオンライン共同作業ツールを駆使して、成果報告会に向けたグループワークを進めました。授業では各学生が必ず2つのテーマに関わり授業全体で4つのテーマ(「首都機能分散の実現に向けて」・「気候変動による影響と食料問題への対策」・「災害予測・災害救助」・「脱原発・脱炭素」)についてグループワークを展開しました。春学期発表できなかったテーマも含め、秋学期は春学期より多い発表数を達成することができました(※プログラム参照)。
成果報告会は、コロナ禍の影響もありZoomを用いてオンラン上で開催しました。当⽇は、参加学生も含め商学部 森永由紀先生、外部専⾨家⽀援委員(※文末に記載)により、⾮常に濃密な質疑応答がなされました。各グループともに質疑応答用の100枚以上のバックアップスライドを用意しており、春学期と比較して非常にスムーズに返答できていたのが印象的です。春学期にも参加された外部専門家支援委員から、この一年間での成長度合いを驚く声も聞かれました。
以下、学生からの感想の一部を抜粋します。
- 履修を始めた頃と比べると、絶対に正しい答えがある、と心のどこかで考えてしまっていたが、そういうことばかりではないと分かるようになったことが成長した点であると考えます。今すぐに役に立つことばかりを求めていたらかえって前に進めないのだと今日の成果報告会を通して改めて思いました。
- 災害が起きてからどうにかすることだけでなく、災害が発生する前からいつか起こる災害のために準備することが大切な復興の要素だと考えます。一度被災して復興してもまだ災害のリスクはあるし、災害を自分のこととして身近に感じたことがない人のいる場所にもリスクはあって、自然や災害について明らかにされていないこともたくさんありますが、それ以上に今取り組むべきことやできることがたくさんあると気付くことができました。
- 自分の知識がいかに少ないか、間違った情報に左右されているかということを感じました。いろんなことを調べていく中で、テーマは違っても同じキーワードにたどり着くこともあり、その点が面白く興味深かったです。
- 1年間この授業を受けて、プレゼン能力はもちろん、情報を集めまとめる力、他人に自分の意見をより明確に伝える力など様々な力がついたのではないかと思う。毎年気候や地震などで被害を受ける中で、自分の知識が少なすぎるというのが授業を受けた後で分かった。発表を通じて、たくさんの情報や知識を身に着けることができた。
- この講義を受講するまでは災害が起こって初めて「復興」が始まるのだと思っていましたが、「復興」は、災害が起こる前から常に行っていかなければならないことなのではないかと思うようになりました。
- 私の考える復興とは、建物などの再建だけでなく、風評被害などがなくなり、経済的にも立ち直り、災害から得た教訓を生かして、災害前よりも災害に強い地域となることである。
今年度はオンライン主体ということもあり、どこまで授業を完遂できるか手探りの状態だった中、学生の努力によりここまでの成果を得ることができました。1・2年生の学生には大変な授業だったと思いますが、最終的な感想を見る限り学生の復興に対する理解は想像以上に深まったと感じています。この授業での学びが、何らかの形で実を結び、ささやかではありますが復興の一助となれば幸いに思います。
最後に、お忙しい中本成果報告会にご参加頂いた外部専⾨家⽀援員の⽅々、本学商学部 森永由紀先生、及び本報告会開催にご協⼒頂いた商学部事務室の⽅々に深く御礼申し上げます。ご協⼒有難うございました。
- 2020年度特別テーマ実践科目B成果報告会プログラム
月曜3時限「大災害時代の復興未来学」
月曜5時限「社会が求める科学技術イノベーション」
日時:2021年1月8日(金)12:00開始
場所:Zoomによるオンライン開催
- プログラム
12:00 授業紹介・外部専門家支援委員紹介
「大災害時代の復興未来学」発表開始(発表+質疑応答:25分)
12:05「首都機能分散の実現に向けて」 商学部1年生:3名・2年生:1名
12:30「気候変動による影響と食料問題への対策」 商学部1年生:3名・2年生:1名
12:55「災害予測・災害救助」 商学部1年生:3名
13:20「脱原発・脱炭素」 商学部1年生:1名・2年生:2名
13:45 休憩(10分)
「社会が求める科学技術イノベーション」発表開始(発表+質疑応答:25分)
13:55「スペースデブリとこれからの宇宙開発」 商学部1年生:2名・2年生:2名
14:20「駆虫薬とウイルス」 商学部1年生:3名・2年生:1名
14:45「AIと量子コンピューターについて理解する」 商学部1年生:2名・2年生:2名
15:10「触媒とエナジーハーベスト」 商学部1年生:3名・2年生:1名
15:35「食を守る」 商学部1年生:2名・2年生:2名
16:00 総括・外部専門家支援委員より
16:20 写真撮影
16:25 解散
- 外部専⾨家⽀援委員
吉澤⼀⺒ 様 (東京理科⼤学薬学部疾患薬理学研究室 准教授)
水野統文 様 (聖路加国際病院放射線治療品質管理室 室長)