2025.07.01
ゲストスピーカーによる特別授業実施報告:ラミアリソン・ヘリンザトゥブ・エメ 氏【テーマ:Madagascar-China Relations: Trade, Investment and ODA】
小林尚朗(担当教員)
1.実施日
2025年 6月 25日(水)2限(10:50-12:30)
2.実施場所
駿河台キャンパス 1093教室
3.科目名
世界経済論A
4.ゲストスピーカー
ラミアリソン・ヘリンザトゥブ・エメ 氏(アンタナナリボ国立大学(マダガスカル)経済学部 教授)
5.実施内容
今回、アンタナナリボ国立大学(マダガスカル)経済学部 教授のラミアリソン・ヘリンジャトヴォ・エメ先生をゲストにお迎えし、講義を行って頂いた。講義テーマは、"Madagascar-China Relations: Trade, Investment and ODA"であった。
中国の一帯一路戦略やアフリカ全体との経済関係を概観したうえで、本題であるマダガスカルと中国との間の貿易、投資、援助関係の講義となった。マダガスカルと中国との貿易は近年急速に拡大しており、マダガスカルにとって中国はいまやEUを上回る最大の輸入相手国である。マダガスカルは中国から多様な製品を輸入している一方で、輸出は85%が鉱物資源、6%が農産品と、一次産品に偏っている。中国からマダガスカルへの直接投資も、貿易関連や資源開発、インフラ整備で伸びているが、結果として資源の調達先且つ工業製品の販売市場として中国経済と統合されている。一帯一路の関係でODAも近年急増しているが、コンディショナリティーなどの条件が緩い分だけアクセスしやすい一方で、グラント比率も低い借款が中心となっており、債務返済リスクの懸念もあるとのことである。
マダガスカルの労働大臣を務めたこともあるラミアリソン教授は、長期的な経済発展のための雇用創出が必要と考えているが、その道のりはこれまでのところ厳しいものがある。マダガスカルは最貧国の1つである。自らの研究が自国の貧富・盛衰を左右する立場にある首都の国立大学教授として、ラミアリソン教授の講義はとても重みのある内容であった。
オール英語での講義で不安もあったが、履修者の感想を見る限り概ね理解できているようで、アフリカのこと、マダガスカルのこと、中国や日本、アジアとの関係など、さまざまに学びとなったようである。これだけ立派な感想を書けるならば、質疑応答の時間にもっと積極的に発言してもらいたいと思ってしまうが、貴重な機会になったことは間違いない。ラミアリソン教授には心から感謝申し上げたい。