授業

2025.12.10

第2外国語が広げる世界~vol.2ドイツ語~

商学部3年 田中 咲羽〔商学部の現場〕編集部記者

こんにちは。
〔商学部の現場〕学生記者の田中です。
前回のvol.1のフランス語に続き、vol.2としてドイツ語を紹介したいと思います。

 高校生の皆さんは、大学生になったら第二外国語として何を学ぶか決めていますか?
明治大学を含め、ほとんどの大学では英語の他にもう一つの外国語を学びます。
前回の記事でも軽くお伝えした通り、商学部では第2外国語として、6つの外国語の中から選んで学びます。
また2年生になると商学部独自の制度として、フランス語ドイツ語では、“時事”や“文化”など好きなテーマを選んで学ぶことができます。

 皆さんは、ドイツといったら何を思い浮かべますか?
ソーセージや音楽、クリスマスマーケットなど様々なものが思い浮かぶと思います。
また、グリム兄弟やバッハなどの出身地で、日本の私たちも、小さい頃から実はドイツの文化に少なからず触れているかもしれません。

 今回は第二外国語vol.2ということで、ドイツ語のテーマ別授業について取り上げます。
この記事を通して、ドイツという国やドイツ語に興味を持っていただければ嬉しいです。

 ドイツ語のテーマ別授業は、コミュニケーションドイツ語、ドイツ語検定、時事ドイツ語、ドイツ文化講読、オーストリア文化講読に分かれています。
今回はその中で、時事ドイツ語を教えている広沢絵里子先生にお話を伺いました。
授業では、主にドイツの記事や教科書を使い、ニュースや出来事と共に文法を学んでいます。その際にはグループワークも取り入れ、学生がお互い高め合っていけるようになっています。


 

ーまず初めに授業について簡単に教えてください

 私の担当している時事ドイツ語は、当初、新聞記事などを通して、現代のドイツ社会や文化について学びながら、ドイツ語を習得する授業として計画されていました。ところが最近では、インターネットの普及やAIの発展により、ドイツ語の文章自体は翻訳ソフトなどで簡単に読めてしまいますよね。
とはいえ、ドイツ語はあくまで言語です。なので、AIや翻訳ソフトに頼るのではなく、自分の力で読むことで、ドイツで起こっている出来事をより深く理解できると思っています。そのために、初めのうちは教科書を使い、ドイツについて知りながら、長文に慣れてもらうことから行なっています。

(教科書と先生自作のプリント)

 また、それと並行して、現在のドイツで発信されているビデオや記事の一部を取り入れたり、グループワークや質問を投げかけることによって学生に考えてもらう機会を設けています。

具体的な内容としては、どのようなことを取り扱っているんですか

 例えば今年は、ドイツの情報番組で取り上げられていた、バウムクーヘンで有名なドイツ菓子店『ユーハイム』を題材にしました。実はこのお店、日本発祥です。
その理由は第一次世界大戦まで遡ります。現在の中国の地域である青島は、当時はドイツの植民地になっていました。その大戦の際にドイツに宣戦布告した日本は勝ったので、ドイツが占領していた地域を日本が獲得しました。その結果として、青島にいたドイツ人たちは捕虜になって日本に来ました。その中にお菓子屋さんのユーハイム氏がおり、日本でドイツのお菓子の店として創業したのが『ユーハイム』なのです。

図1.png

(ユーハイムのニュース 出典:Deutsche Welle)

ーそれは、とてもおもしろいです。ちなみに、教授がドイツ語を学んだきっかけや、時事を教えようと思ったきっかけはありますか

 そうですね。私は高校時代に、日本の近現代文学の作家に好きな人が何人かいました。そして、その作家たちは明治維新以降西洋化の影響で、フランス語やドイツ語を学んでいました。その影響で、近現代の日本文学の中にドイツ語が結構現れてくるんです。
例えば太宰治は青森の津軽出身でしたが、そこの方言とドイツ語の単語が似ているということで、『ダス・ゲマイネ』(津軽弁:それだから駄目なんだ 独:通俗性)という言葉を作品のタイトルに使ったりしました。それによりドイツ文学に興味を持ち、文学部のドイツ文学科でドイツ文学を学びました

 その後、大学院に進み、ドイツに留学する機会があったのですが、その時に日本社会とドイツの社会の枠組みが違っているということを感じました。
例えば、私が学生の時、日本の家族観はまだまだ保守的で、両親と子供二人の核家族が「標準」のようにとらえられていました。しかし、夫婦の離婚率が高かったドイツには、多様な家族のあり方が社会の中にはっきりと見えていたように思います。個人が自分の生き方を選択することによって、孤独を背負うこともありますが、狭い「家」ではなく広い「社会」に足場を見つけることがドイツの個人主義なのかなと感じました。
そのように、違う社会があるということを知るのは、自分の世界を広げることだと思います。

そして、ドイツ語を勉強することで、日本と違う社会のあり方を、学生の皆さんにも少しでも分かってもらえたら嬉しいです。

ー学生に対する思いなどをお聞きしてもよろしいですか

 外国語をじっくり学ぶというのはそれなりに忍耐もいるので、避けたいと思う方もいるかもしれません。ですが、やはり英語以外の外国語を学ぶということは、色々な可能性を広げることになります。なので、ぜひ臆することなく学んで欲しいです。
商学部では、ミュンヘン大学付属語学学校で開催されている夏期講習に、毎年学生を派遣しています。もし明治大学の商学部に入学して、ドイツ語を学ぶのなら、教室で学んだことを踏み台に、ぜひドイツへの短期留学にチャレンジして欲しいです。

ー言語選びのポイントなどはありますか

 そうですね。まずは「言語を学ぶことは大変だ」という思いは捨ててください。
「英語以外の言語から別の視点を学べるんだ」という気持ちで、関心のある言語を学んで欲しいです。「簡単だ」とか「易しい」という説明の仕方はよく見かけるかもしれません。しかし、どの言語ももちろん易しい部分と難しい部分があります。ですから、ドイツ語だけがとりわけ難しいということはありませんので、選択肢に入れていただきたいですね。
選ぶポイントは、「自分が勉強したいことに関係しそうだな」や、「その言語の使われている地域についてもっと知りたいな」などです。スポーツの分野でも、多くの日本人選手がドイツで活躍していますし、そのような繋がりから興味があれば、選んでいただきたいと思っています。

ーちなみに、商学部で学ぶこととドイツ語との関わりなどありますか

 これは商学部のホームページのドイツ語の説明にもあるのですが、商学という学問は、ドイツが発祥です。ドイツもかなりアメリカナイズされて、英語が中心になってきてはいますが、商学部とドイツ語は会計や経営の面でも関係が深いと思います。また、商学部はイギリス、フランス、ドイツに学部間協定校を持っていますので、そうした国の言語を英語αとして学んでくれたらと願っています。

ードイツ語は英語と同じゲルマン語だと思うのですが、英語とドイツ語はどれくらい似ていますか

 そうですね。確かに英語とドイツ語の場合、綴りが全く同じ単語はあります。例えば、英語の”Student”と全く同じ綴りです。しかし、発音やアクセントは違うので、そのようなところで悩む人はいるかもしれません。
また、ドイツ語は基礎的な単語を覚えると、その組み合わせで単語ができることもあるので、実は英語よりもある意味簡素で分かりやすいという部分もあります。

ーありがとうございます。最後に高校生に向けて一言いただけませんか

 商学部は第2外国語を必修科目として置いていますが、ぜひ自分から積極的に学んで欲しいです。それがもしかしたら、ドイツや他の国への留学に結びつくかもしれません。外国語の勉強というのは、色々な楽しみ方がありますが、一生懸命やればやるだけ返ってくる科目でもあるので、ぜひそのような気持ちで挑戦して欲しいなと思います。

 

 

vol.1フランス語とvol.2ドイツ語の2回に渡り、第2外国語について紹介しました。

 大学受験での英語は大変かもしれません。ですが、大学で学ぶ外国語は好奇心や世界を広げることに直結します。記者自身も、大学受験での英語はあまり好きではなく、大学に入るまでは言語学習に全く興味がありませんでした。ですが、大学に入り、新たに言語を学んでからは楽しくなり、今では授業だけでなく、独学でいくつかの外国語を学んでいるほどです。

この記事を通じて、商学部の第2外国語に興味を持っていただけたら嬉しいです。

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